ダイナマイト領主-2
「プッくくぅ~」
醜く肥え太った男が、その貌を愉悦に歪ませる。
「う…うう…」
「リブ!もういいわ!縄を離してッ!」
「やだ…離したら、お母さんが死んじゃうよ!」
その目の前では、小さな子どもが縄を必死に掴んでいた。
子どもの手はひとつふたつではきかないほどの裂傷ができ、爪もほとんどが剥がれてしまっている。
痛みは有る、しかし、離してしまえば母の命はない。
縄を離した瞬間、仰向けにくくりつけられた母の上に吊り天井が落ち、人肉と石のサンドイッチが出来上がるというわけである。
『かんに障ったから』というくだらない理由で、子どもをこのような目に逢わせる醜い豚を少年の母が睨めつける。
「あ、睨んだなぁ~?じゃ、この三文芝居はおっしま~い」
ふざけた口調で、ブッデルがパチンと指を鳴らす、瞬間、縄が中ほどから切れた。
「あ…」
「お母さァァァァァァァァァんッ!」
母は絶望に顔を歪め、子は吼え、豚は愉悦に顔を歪ませる。
「ああ、おしまいだな」
「「「え?」」」
轟音を上げて吊り天井が砕かれる。
その下には、右腕を振り上げる女がいた。
「豚が、お前の露悪趣味もここまでだ……!」
女は、瞳に怒りを灯し、ブッデルを睨みつけた。
その体から滲む怒気が、周りの壁に、床にヒビを刻む。
情状酌量も、いや、判決を待つ必要もない。
「お前を処刑するッ!!オレ自身の手でッ!!」
死刑、執行。




