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黒腕の乙女ー4
「それではリーダー、僕はこれで」
とある酒場で、ミスミとソリューが別れの挨拶をかわす。
もともと、彼らの間では『探している人が見つかればクランを抜ける』という約束が交わされていた。
「まあ、見つかって何よりだ」
ソリューは、ミスミに対して笑顔を向ける。正直に言えば、ミスミは手放したくはない人材なのだが、約束は約束だ、それを違えるわけにはいかない。
「何度か南部の方へ顔を出しに行きますよ、それに、今生の別れでもないんですから」
「ああ、達者でやれよ」
「はい…ありがとうございました」
「…風邪、ひくなよ」
「…はい」
一言、二言言葉を交わし、ミスミは酒場を出ていく。
それ以上の、語る言葉はいらなかった。
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よく晴れた昼下がり、ギルドの訓練場では二人の人物が相対していた。
「さて、準備はいいか?」
「いつでもいけるぜ?」
テッシンはストレッチをしつつ、ソリューに問いかける。
帰ってきた答えは『YES』。
「…」
「…」
ソリューはメイスを。
テッシンは黒い右腕と生身の左腕を。
双方が構え、周囲を水を打ったような静寂と体のきしむような重圧が支配する。
そして、双方が飛び出した。
「ダラァ!」
「チェイヤッ!」
メイスと右腕がぶつかり合う。
戦闘、開始。




