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異世界拳風伝/STORMBRINGER  作者: 岬式人
燃え尽きて、生まれ変わって
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慣れの問題、まさかの再会-1

 店のドアが開き、ケメルが入口のほうを向く。

 「…おや、珍しいね、何か用かい?」

 「腕を診てくれ」

 そう言って、右腕を差し出すテッシン。その光景にあきれたのか、ケメルは溜息を吐いた。

 「いつから僕は医者なったんだい?」


 肩をすくめ、やれやれといった表情で首を振るケメル。

 「あの時、ダタルのおっさんが頼りにした時点で」

 「そんなものは推測でしかない」

 「なら、なぜ道具を使わず見ただけで『魔力不足だ』と断ずることができる」

 

 通常、魔力量を調べる際には”専用の道具”か”専門のスキル”が必要である。

 あの時、ケメルは専用の道具を使わずに、一見したのみで倒れた少女の症例を言い当てた。

 つまり、彼女は後者ということとなる。

 

 「…まいった、返す言葉がないね、まあ、あの時は仕方がなかったというか…まあいい、右腕を診ればいいというだけではないのだろう?」

 「最近、腕の振りが遅いうえに、どこかギクシャクしているのでな」 

 「ふむ…それは、いつ頃からだい?」


 「この間、地下水道の調査に行った時だ」

 「なるほど…おそらく、その義肢が君に合っていないんだね」

 「どういうことだ?」

 

 「ああ、通常、魔導式まどうしき欠損けっそん補填甲冑ほてんかっちゅう…つまり、こういった義肢の類は、使用者に合わせてチューニングされるんだ、けど、君は魔力を使えない代わりに別の力でこれを動かしている」

 「つまり…俺とこの義肢の間にずれが生じるのは、この義肢が俺の氣とあっていないからということか?」

 

 ケメルは、コクリとうなずく。

 「そうだね、なら、早速チューニングするかい?」

 「頼む」

 即答。まあ、テッシンとしては願ったりかなったりしてやったりなのだが。

 そうして、テッシンとケメルは別室へと入っていった。 


 @@@


 「さて、それじゃあその”氣”というものを見せてくれ」 

 「分かった…わかりやすい形でいいな?」

 「できる限り複雑でない方で」

 「オーケー」

 テッシンは、左手のひらを天井に向け、目を閉じる。

 すると、手のひらに小さな橙と朱と金のまじりあった色の火がともり、どんどんとそれが大きくなっていき。小指の先ほどの火が最終的には轟轟と燃える炎となったが、不思議と熱さを感じることはなかった。

 

 『氣炎』

 氣を目に見える形で発現させる際の、最もポピュラーな形である。


 「こんなものでいいか?」

 「十分すぎるほどさ」

 テッシンの問いに、ケメルが笑みを浮かべて答える。


 ケメルは、懐から方陣の書かれた羊皮紙を取り出し炎の上に持っていく。

 炎にさらされた羊皮紙の方陣が炎と同じ色に変わる。

 「オーケー、そのぐらいで十分だ」

 しばらく羊皮紙をさらした後、テッシンにそう告げる。

 テッシンは、手のひらで燃える炎を握りつぶしてかき消した。

 

 ーーー


 「よし、チューニング完了だ、使用感はどうだい?」

 テッシンの義肢を装置につなげ、ゼロコンマ秒もかからぬうちにコンソール操作を終えたケメル。

 「…シィッ!」

 半信半疑のまま、右腕を振るう。

 続けて、右脚、左脚を振るう。

 今までとは、比べ物にならないほどに義肢の反応が高くなっている。

 

 「…問題ないな」

 「それは何より、あ、お代はいらないよ」

 「いいのか?」

 「金をとるほどの仕事じゃない、それでいちいち金をとれば大事なものを失くすのさ…」

 ケメルは一瞬遠い目をする。テッシンは、それを追及しなかった。 


 「そうか…世話をかけたな」

 「お安い御用さ」

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