レインベル家は今日も平常運転です
「お姉様、お父様にゴドの街へ視察に行かないかと聞かれたのですが、いかがしましょう?」
唐突に、短髪白髪に病的に白い肌の少女が問う。
「あン?」
お姉様、と呼ばれ気のぬけた返事する女性。 右目に眼帯を付け、腰まである赤髪に日に焼けた肌。でてるところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいるというプロポーションをフルプレート鎧で覆い隠しており。両手に鋼鉄竜の皮で作られたメイス二本のうちの一本を玩んでいた。
その後ろから、紫のまだら模様のついた虎が迫る。
レベル30台の冒険者であっても苦戦するモンスター、べノムタイガーである。
「ゴドの街っていやあ、噂のルーキー君がいるとかって話だったな?」
玩んでいたメイスをキャッチし、女は、後ろから迫るべノムタイガーの頭を何のこともなしに叩き潰しつつ少女にそう返す。
「ガ…」
「はい、その噂のルーキーに会うのが目的だとお父様がおっしゃっていました」
少女の後ろからとびかかるべノムタイガーが雄たけびを上げようとした瞬間、サイコロステーキのようにバラバラになる。少女の手には、血に濡れた、宝石で作られたかのように輝くナイフが逆手持ちで握られていた。
「なら、善は急げだ、とっとと片づけて帰るとしようぜ?」
「はい…」
双手メイスの女と宝石ナイフを持った少女が”獲物”たちの方に向きなおる。
その足元には、百にも及ぶ様々なモンスターの死骸が転がっていた。
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「クラン≪レインヘッド≫リーダー、ソリュー・レインベル、ただいま戻った」
「クラン≪レインヘッド≫所属、マトリ・レインベル、ただいま戻りました」
「おお、帰ってきたか、さて、例の話だが…」
「お供する事にした、マトリも同じく、だ…それじゃあ、早速―――――――――――」
「まあ待て、はやる気持ちもあるだろうが…ソリュー、お前のところのクランの面々も連れて行きなさい」
「なんでだよ?オレたちだけで行けばいいじゃねえかよ」
ソリューはヴェルトロに不満を漏らす、こちらは早くやり合いたいのだ。ここで止まっている暇はない。
「一応、表面上は東大陸側のギルドへ視察に行くということになっている…なので、な?」
ヴェルトロはいたずらっぽく笑ってソリューの疑問にそう答える。
ソリューは得心して手をたたく。
「ははあ、オヤジもなかなかのワルですなぁ~?ムホホ…」
「いやはや、ソリューにはかなわんよォ~?ンフフ…」
ソリューとヴェルトロは顔を寄せ合い、悪い顔で笑い合う。
その後ろで、またいつもの癖ですか、と、マトリは苦笑した。
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「不動鉄心…本当に、あの人だとすれば………行くしかないな」
南大陸、鉱山都市レギウスにあるギルドの一角。プラチナブロンドの髪に銀の瞳の”少女”がそうつぶやいた。
最後に現れた少女の正体は何か…それは、近いうちに分かるかも?




