胃がボロボロです、何とかしてください byギルド長A
「うあ…あうあ…」
初っぱなから、ギルド長が執務机の上で打ち上げられたマグロのようになっていた。
理由は簡単。
不祥事を起こしたことを水に流す代わりに、『噂のルーキーを連れてこい』と言われたのだ。
おそらくは『二度目はないぞ』と、こちらに釘を刺すためだろう。
まあ、実際にはレインベル家が脳筋パッパラで戦闘のことしか考えていないため、『噂になるほどなんだからそのルーキーは相当に強いのだろう』という短絡的思考で指名したのだが、その真実を知るのは後になってからであった…。
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「と、いうわけで行ってこいと」
「そういうことだ」
テッシンは、待合室のソファーでアベルと向かい合っている。
「断る」
一つ息を吐いた後、テッシンはそう口にした。
「ナンデ!?」
アベルが目を点にし、疑問を口にする。
「簡単な話だ、オレに会いたいのならおまえ等が来い、それだけの話だ」
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「…とのことですが?」
怜悧な目つきのメイド、レイルウェイズが主に問う。
対して、主は机に両肘をついたまま俯いて震えてた後、背中を反って馬鹿笑いを始めた。
その光景を見てレイルウェイズが、驚いてびくりと肩を震わせる。
「く…かはは…面白い若者だ、それに、肝も据わっているようだな」
「ただの身の程知らずだと思いますが」
「構わんさ、彼の事が分かればそれで良し、それだけの事さ……娘達も連れて行くかな?」
「いけません、ヴェルトロ様」
ヴェルトロ、と呼ばれた男は、「まあまあ」と言いながらメイドを諫める。
「いいじゃないか、彼女たちのいい経験になる」
「しかし…」
「大丈夫だ、私もついて行けば問題ないだろう?」
「そういう問題では…ああ、もういいです」
目を子供のようにキラキラと輝かせるヴェルトロを見て、レイルウェイズは溜め息を吐いた。




