二重苦の聖騎士がやらかしたようです
「疲れた…」
どさり、とルゥの家に帰って来るやいなやソファーに身を投げるテッシン。
しかし、一日中旧水道内を駆け回ったのを思い出して、のってりとした足取りでバスルームに向かった。
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「はぁ…」
バスルームから上がり、自分の部屋へと歩みを進めるテッシン。
そのまま、ベッドへと倒れこんだ……。
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ゴドの街、その裏路地にあるさびれたバーの一角。
「いらっしゃい…あら、噂の新人さん?子供向けのドリンクはほとんど扱ってないのだけど」
「ミルクでも貰おうか、それと”ノルナート”も…」
「こちらのお客さん…というわけね」
そう言って、女主人が裏へと引っ込んでいく。
ここは、バーというのは表向きの顔で、裏の顔は様々な情報を仕入れる情報屋であった。
テッシンは、ファナウス教団の情報を探るためここを訪れている。
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ファナウス教。
ファナウスと呼ばれる正体不明の神をあがめる謎めいた宗教。
ここ最近台頭してきており、北の大陸の『神国イルエル』を中心に広まっている。支部も無数にあり、様々な地位の人物がこの宗教に入信しているため、下手な秘密結社より太いパイプを持つ。
(あ、アウトオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!こいつはくせぇーッ!ゲロ以下以前にヤバい臭いがプンプンするぜッー!つーか見えてる地雷ってレベルじゃねーよ、鉄火場のど真ん中に置かれた中性子爆弾だよ!)
テッシンは、劇画調の顔になりながらミルクを飲み干し、心の中で吐き捨てた。
完全に黒、ギルティ。
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「はあ…」
「またため息ですか?ギルド長」
「これを含めて本日二回目だよ…」
「…また誰かがやらかしたんですか?」
「ああ…あの”二重苦の聖騎士”サマがやらかしたんだよ…クエストの依頼主の娘に手を出しやがった…おまけに”レインベル家”の人間にだぞ!?もうだめだぁ…おしまいだぁ…」
アベルは頭を抱えてこの世の終わりのように震えている。
レインベル家。
五大陸の八大貴族が一つにして、『武』をつかさどる一族である。
レインベル家の者は総じて気性の荒いものが多く、その昔、幾多もの種族と文明を滅ぼした実績のあるとっても素敵な家である。




