従者を作ろう-…の前に
「その前に、装備を整えるか」
「今までそれだったのかよ!?」
「これが一張羅だ!」
従者工房に行くその前に、リーに装備がみすぼらしい、と言われ、とある鍛冶職人の住所を手渡されたテッシンは装備を整えるためそこへと向かうことにした。
「ここだな…ごめんください、ダタルさんはいますか?」
「ん?客か…いかにも、ワシがダタルだ」
鉄の匂い立つ店の奥から、いかにもな堅物職人オヤジという雰囲気の男性が姿を現す。
「まあ、適当に見繕っとけ…」
「なあ、おっさん、何でそんなに元気がねぇんだ?」
クェイスが不満足な顔をしたダタルに疑問を投げる。
「やりがいを無くしちまったんだよ、どいつもこいつも大量生産品の武器と防具ばかり、ワシら鍛冶屋はそのワリを喰っちまったのさ…」
「マジかよ…」
やるせない気持ちに同じ鍛冶職のクェイスは目を伏せる。確かに、最近では鍛冶職人のハンドメイドよりも大量生産の装備品の方がコストの面で重宝されている。それが一般になってきているのだが……そのせいで鍛冶職のほとんどはすたれていく一方だった。
「だが、この剣といい、鎧といいどれも魂と情熱のこもった逸品だ」
「あんた、分かるのか…!?」
「オレは量産品は好かんのでな、こういった、一槌一槌打たれたものの方が好ましい」
テッシンはそれに、と続けて。
「あんたにだって燻っているものがあるはずだ、そうじゃなかったらこういう品は作れない、違うか?」
「…あんた、名前は?」
「テッシン、冒険者のテッシンだ」
「ジョブは?」
「格闘家だ」
「…少し待ってろ」
そう言って、ダタルは店の奥へと引っ込んでいく。しばらくすると、黒一色の装備を持ってきた。
「こいつは黒鋼鬼っつう、そんじょそこらの冒険者じゃあまともに太刀打ちできないモンスターの皮をなめした服とブーツ、こいつらが、今、ワシが作った中で最高の装備だ」
「お代は?」
「いらねえ、持っていけ!」
しかし、その言葉を無視してテッシンはダタルに1万ルド金貨五枚を押し付ける。
「只より高い物はない、という言葉がある、それじゃあな!」
「へ?ちょっ…!どこ触ってんだ!」
「あっ!おい!…行っちまったか………さて、頑張ってみようじゃねえか!」
テッシンは、クェイスを担いで逃げるように店を飛び出た、それをダタルは呆気にとられてはいたが、気を取り直し、その瞳に情熱を宿して店の奥へと引っ込んだ。




