異世界に立つー1
「何故こうなった?」
そんなことをつぶやきながら、不動鉄心はひとりごちる。
何しろ、今いるのは雲がぽつりぽつりと点在する青空。そこから地面へ向けて真っ逆さまに紐なしバンジーしているのだろう。
そうこうしているうちに地面が見えてくる、このままだとネギトロめいた死体になるのは確実だろう。
「ん?…あれは…」
ふと地面を見ると、ひとりの女性がRPGでよく見る小鬼のようなモンスターに囲まれていた。
幸い、小鬼たちは気づいておらず、さらに、このままいけばゴブリンの一体に直撃するだろう。
ならばどうするか、ラノベ主人公ならどうするか!
「『女性』は助けるものだ」
YES!YES!YES!(OH!MY、GOD)
「応火式戦術、戦法の三十八…!」
「――――――――――…え?」
「甲吶ッ!」
「ぐぎゃっ」
さらに『空中に踏み込んで』加速させた爆速の直突きが一体の哀れなゴブリンの頭を叩き潰す。
そして、地面を打った反動で飛び上がり女性の元へと着地する。
「あなたは一体…」
「俺か?俺の名は—――――――」
「――――――――――――応火式戦術皆伝、不動鉄心!」
我々の住む地球とはちがった世界。
ここに、一人の男が現れた。
男は、子に、孫に囲まれ、大往生を遂げたはずだった。
だがしかし、何の因果か選ばれて。大地を踏みしめ、立ち上がる。
応火式戦術免許皆伝、不動鉄心。
異世界に立つ。
今月の二話目です、これから、月に一~二話投稿になります。できれば3~4話ぐらい連投できたらなと思いますが…まあ、頑張ります。