クエスト達成と問題ー2
秒間108回の土下座で何とか事なきを得たテッシン(まあやらなくても許してくれたので完全な無駄骨だが)。
しかし、彼は新たな問題へと直面していた―――――――――。
「えっ……と…これは、どういうことなの?」
「すまん…だが仕方がないだろう…」
困惑するサン、テッシンは鉄面皮に汗を垂らして答える。
彼らの目の前には、二人のボロをまとった少女たちがいた。
なぜこの状況になったかはさかのぼること数十分前のこと……。
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「あらかた片付けたな、さて、…」
テッシンの周囲には、二つの人肉ミンチ以外にも首だけが飛ばされた人間だった肉塊が散乱していた。
その死体から、剥ぎ取り行為を行う…というのは(こっちの)法律的に大丈夫なのか、とクエストを受ける途中に聞いたら――――――――。
「大丈夫ですよ、それに、犯罪者からはぎ取ったところで罪には問われません、自業自得というものです」
―――――――フェイ、と名乗る受付嬢にそうあっさりと言われ、犯罪者の地位の低さに二秒ほど同情するテッシンであった。
剥ぎ取りが終わり、それらを支給品の袋に詰めていくテッシン。
「……」
テッシンはつかつかとそのまま馬車へと近づいた。
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その少女は、馬車の鉄格子からずっと見ていた。
圧倒的な力で敵をねじ伏せる姿、黒々とした髪と瞳。
一切を鏖殺せんと迫る威圧感。
「キレイ……」
その姿は少女が奴隷として売られる前、いつも母が読み聞かせてくれた絵本の中の『魔王』にそっくりだったからである。
盗賊すべてを叩き潰したその男は、戦利品をはぎ取った後、こちらにやって来た…。
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「よっこいしょういち…じじくさいか?いや、まあ、実際にそうだが…」
馬車からの視線を感じたテッシンは鉄扉を素手で『引きちぎり』中を見渡す。
いるのは、おびえた表情で隅にうずくまる犬耳のついた青髪の少女。片目を閉じた褐色肌に白髪の少女と、その少女を守るように後ろへやり、テッシンに敵意を向ける血のように暗い赤髪の女性、などなど…。
「あんた、誰」
「落ち着け…俺は冒険者だ、危害を加えるつもりはない」
ズボンのポケットからギルドカードを取り出し、赤髪の少女に向かって見せる。
「メル、あれって本物?」
「大丈夫、本物ですよ、姉さん」
片目を開いた少女は姉と呼ぶ女性に耳打ちする。
(さて、ここに二つの選択肢がある、一つは、仕事を完了してるからということで彼女たちを放っておく、もう一つは引き取るという選択だ)
『放っておく』という選択をすれば、面倒に巻き込まれなくて済む。しかし、彼女たちはどうなるかは分からない、無論、生きているかさえ、だ。
ここでもう一つの選択肢『引き取る』という選択をしたとしよう。確実に面倒ごとになる。
知らん顔で通り過ぎるか、手を差し伸べるか。
「まあ、決まっているがな…」
テッシンはため息まじりに言う。
「なあ、あんたらをギルドまで送りたい…どうだろうか」
「もしそれが嘘だったら?」
赤髪の女性が返す。
「その時は俺を殺せばいい、約束を違える奴は信用ならない、とな」
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「というわけだぁ…」
「……」
サンはテッシンに困惑した笑顔を向けた。




