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異世界拳風伝/STORMBRINGER  作者: 岬式人
燃え尽きて、生まれ変わって
10/81

理由と信念

 「フッ!!ェイヤァア!」

 「しッ!」

 テッシンが拳を放ち、それを避けてルゥが細剣を振るう。

 現在、彼らは組み手を行っていた。 

 何故かと言えば、テッシンいわく『違和感の正体を探るため』との事である。


 「……やはりな」

 「え?」

 「ルゥ、組み手はここまでだ」

 突然にテッシンは構えを解き、ルゥに近づく。それを見て、ルゥはきょとんとした顔になった。


 「でも私はまだ…」

 「違う、俺が言いたいのはお前の動きの事だ、ルゥ、お前はその剣を使いこなして無いんじゃあないのか?」

 「ッ!………」

 沈黙、しかし、その沈黙が答えだった。

 

 「自分でも気づいていた、か…………教えてくれ、その剣を無理やりでも使っている理由を」

 「………」

 「あー…嫌ならいいんだが…「分かりました」……すまんな」


 ルゥはとつとつと話し始めた、何故慣れない細剣を使うのかを、それは冒険者になった理由と関係していた…。 


 @@@


 ルゥ・チェインはとある王家の八人の子供の内、一番下の妹に当たる存在であった。

 しかも、めかけの子ということもあり、使用人たちには家族のいないところでは軽んじられ、雑用などを押し付けられることもあった。


 しかし、兄弟姉妹きょうだいたちや親達からはそういった扱いを受けた訳ではなく、いろいろ助けてもらい、様々な事を教えてもらった。


 ルゥは子供の頃、冒険者であった自分の母から様々な冒険譚を聞いて育った。

 

 火を吐息のように吐き出す竜。

 如何なるものも斬り裂く剣に変わる精霊。

 忘れられた墓を独りきりで守る死神。


 それを聞く度に、その場所へ行きたいという思いが募っていった。


 ある日、それを家族に話した。最初は笑われたが、彼女の真剣な眼差しを見て笑うのを止めて問いただした────『ロマンと同じ位に危険も有る』と。


 彼女は答えた────『それを覚悟の上である』と。


 その数日後、彼女は勘当された。しかし、彼女にはこの意味が分かっていた。


 『達者でやれよ』


 家族たちは何も言わなかった。だがその笑顔は、その瞳は、信じて送り出す色だった。


 @@@


 「そうだったのか……」

 「まあ、今はへっぽこ冒険者なんて呼ばれてますけどね」

 「ふむ……ならば、俺の下で剣を学んでみないか?」

 「え…?」

 「なあに、多少は剣の覚えがある、お前はそこから技術を盗めばいい、それじゃあ早速明日から────」

 「あ…」

 「──────ん?」

 「ありがとうございます!」

 「あいよ」

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