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6立場逆転

 電車を降りて一番に目に入ったのは遊園地だった。懐かしい。涼風がいた時代には閉鎖され取り壊され、跡地には小学校が移転してきた。

 小さな頃、町内会を通して各家庭に入園券が配られたし、同じグループの野球チームが勝てば翌日は先着順だが無料で入園できた。年賀状の抽選があって乗り物券と交換できたおかげか、近所の公園感覚でわりと頻繁に遊びに来ていた気がする。そんなことを思い出しながら絢汰に言えば、遊園地が無くなることに驚いた。

「じゃあ毎年のスケートは?」

 恒例の小学校行事か……こんなことに同窓だなぁと感じる。いやいや、彼はまだ現役小学生だった。そりゃ大事だなとついにんまり笑ってしまう。

 あ、私笑ってる。良かった。まだ笑う余裕がある。大丈夫って自分で自分に言い聞かせる

「山の上は残ってるよ」

 その一言で絢汰は明らかにホッとした。一番に閉鎖された市内のもうひとつの遊園地のことは黙っておこう。


 手を繋いだまま階段を降り線路下の通路を通って南側に出る。そこはまだ昭和の面影が残る古い町だった。店は色々変わったけど道はそのまま同じで変わりようがないのか三方向に伸びている。


 一瞬絢汰と目を合わせ、笑顔で頷くのを見て安心した。そっと一歩を踏み出す。駅からは徒歩三分。たどり着いたそこは更地だった。

 ぼんやりしたまま言葉も出ない。

「涼風」

 名を呼ばれ手を引かれる。そのままついて行けば建築告知の看板があり、依頼主の欄に父の名前があった。

 そういえば、幼稚園に入る前に引っ越して来たんだった。

 ホッとしたものの、さてどうしよう……とまたぼんやりしてしまう。


「よし。じゃあ、俺ん家に来い!」

 まだ何も考えてない、決めてない、わからない。はっきりしない涼風の手を引っ張って、すぐ近くだからと歩き出す。その言葉通り、本当に近所だった。でも………


「大きい………」

 高い白い壁が続いていて、門の前にいるというのに家は見えない。確かに「朱鳥」と立派な表札がかかっているから絢汰の自宅なのかもしれないが……


「ま、待って!ご家族は?ご両親に何て言ったらいいの?」

 自分は大学生で、絢汰は小学生のはずだが明らかに先程から会話がおかしい。立場が逆転したみたいなではなく、明らかに逆転している。いきなりお邪魔してどう説明するのか、だって、こんな訳のわからないことを信じてもらえるのか、とんでもなさすぎて涼風自身まだ信じられないというのに。

「じたばたしたって仕方ないだろ?兎に角行く所もないし、もう夕方だ。ひとまず俺ん家で休んで落ち着いて、それからどうするか考えよう」


 冷静だ。物凄く冷静だ。そして的確な判断力と決断。ちょっと無謀だし強引だし普段ならこんな小学生嫌だと思うかもしれないが、今はひたすら頼りきっている涙目の涼風には有り難い神様のような存在に見えた。

お読みいたただきありがとうございます。

つい、うっかり 読み直し校正する前にアルコールの蓋を開けてしまいました〜〜〜(゜ロ゜;

浮き上がる泡を横目に読み返しましたが、

ミスってたらごめんなさい。m(。≧Д≦。)m

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