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13再会

 巨木に抱きついていると本当に温かくなって充たされていくような心地がした。涼風は再び大きく息を吸い込んでエネルギーを充填すると、そっと巨木から離れた。


「ありがとう」


 小さく呟くと、くるりと向きを替え下山する。


 行き着く先はどちらの時代かわからない。あるいは全く違う時代かもしれない。けれど、行くしかない。不安はある。不安要素ばかり思い付いて足が止まりそうになる度に絢汰のことを考える。


 待っててくれるって言った。

 18年間も………?


 わからない。わからないけれど信じたい。すがるような思い、それだけ………


 やがて麓の神社の屋根が見えて来た。


 その右手の方に人影が見える。ドキドキする心臓を押さえる方法もなくはやる気持ちを押さえ込み足を動かす。

 どうやら男性のようだが西日が逆光になって顔がよく見えなかった。


 背は高い。スマートだ。

 誰?………絢汰?………絢汰だったら良いのに…………

 心臓がうるさい………涙が滲んでよく見えない………


 その時、

「涼風!」


 知らない、聞いたことない声………

「お帰り。涼風」

 でも、穏やかで包み込むような優しい声色………


「け、絢汰?」

「そうだよ。お帰り。涼風。待ってた、ずっと………」


 涙で前は全然見えなかったけど、その声に向かって飛び込んだ。大きな身体が腕がそのまま受け止め抱き締めてくれた。


 どれだけの時間がかかったのか、涼風の涙が落ち着くまで絢汰は優しく撫で宥めてくれた。

 落ち着いてしまうと急に気恥ずかしくなって離れようとしたが、今度は絢汰が離してくれない。


 涼風にとってほんの一時間前に別れた絢汰とは別人のようになった絢汰がそこにいて、もうどうしていいかわからない。

 身長は30センチ以上伸びて肩幅もがっちりして、とにかくデカイ。おまけにイケメン!確かに美少年だったけど、反則だぁ!って叫びたいくらい甘いマスクは整い過ぎていると思う。


「う、あ、あの……離して?」

「嫌だ!」


 18年分だから、18年分抱き締めるまで離さない!と宣う絢汰に呆れ途方に暮れてしまうが、18年の長さを思い、その間自分のことを忘れず思っていてくれたことが嬉しかった。

 たった24時間一緒に過ごしただけで、それっきりだったのに……

 ここで、うっかりほだされてしまったのが涼風の運命を決定付けた。いずれにしても18年前に絢汰の中で決められたことが早々簡単に覆されたとは思えないから時間の問題だったかもしれないが、とにかく織野涼風は朱鳥絢汰に捕獲され一生をその腕の中で幸せに過ごした。

(おわり)

終わりました!ありがとうございました!

初めて書いてみた小説で、ドキドキしながらの投稿でしたがいかがでしたでしょうか?

感想を教えていただけたらうれしいです。


番外編……書いてみましたが、投稿するかどうか躊躇しております。

誰とは申しませんがどんどん暴走していくので途方に暮れてしまいまして………踏ん切りがつきましたら、またお目にかかりましょう。


ここまでお読みいたただき本当にありがとうございました。樹森真椰

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