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メリーさん
プルルルル――
着信音が部屋に響く。番号は非通知だった。
鳴り止まない着信音に俺はため息をついて通話ボタンを押す。
「私メリーさん。今、あなたの家の前にいるの。」
「俺は今、コンビニにいるよ。」
そう言って電話を切った。
嘘だ。本当は家のリビングのソファーでくつろいでいる。
プルルルル――
「どこのコンビニよ。行くから教えなさいよ!」
「世田谷区のローソンだよ。ヒントは駅前な。」
俺は今、静岡県浜松市にある実家のソファーでくつろいでいる。
世田谷区にある駅前付近にローソンがあるのかは知らない。
因みに世田谷区に行ったこともないし、世田谷区がどこら辺なのかもよく知らない。
1時間程でまた電話が掛かってくる。
プルルルル――
「嘘つき!いないじゃない!」
「いや、そんなハズはないよ。よく探してみ?」
「待ってなさいよ!絶対見つけてやるんだから!」
・・・
あれから3年が過ぎた。
メリーさんはまだ僕のことを探しているんだろうか?
もうそろそろ非通知の電話が来た時に放置するのを止めてあげるべきかも知れない。