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僕と彼らの異世界譚  作者: 浮魚塩
夏の海に勇者立つ!
54/55

─51─

 なんだかんだで先伸ばしになったけど。


「夏だ!」

「海だ!」

「海水浴だ!」


 空は突き抜ける青空!

 真っ白な雲に、輝く砂浜、そしてコバルトブルーの海!

 紛れもなく絶好の海水浴日より!


「…………」


 けれど僕は内心とは裏腹にはしゃげずにいた。

 なんでかって?

 そりゃ決まってるでしょ。

 来る前から分かっていた憂鬱事項。


「あれ? ユト、なんでタオルなんて羽織ってるの?」


 となりでフリアが首をかしげる。


「……ん、ちょっと思うところがいろいろあって」

「水着気に入らなかった?」

「そんなことないよ」


 主に僕の心の問題。


「はぁ……」


 思わずため息が漏れる。


「あら? 元気がありませんわね、ユトさん」

「どうしたんですかユトちゃん? まさか体調が悪いなんてことは……!」


 そんなときに水着に着替えたロザリーさんとカンナちゃんがやって来る。


「違う違う! カンナちゃん違うよ! 体調が悪い訳じゃないんだ。ただ……」

「ただ?」


 ただ……。


「…………」


 ロザリーさんは黒のビキニ。

 そのスタイルの良さが際立って、きめ細やかな肌に風になびく銀髪。多分、この海に多くの男が居たなら、ほぼ全員が振り向くだろう。

 カンナちゃんは水玉模様の可愛らしい水着。

 露出は多くないけど、そこから見える健康的な肌がなんとも妙な気分にさせる。

 そして隣に居るフリアはパレオ、っていうのかな?

 大人っぽさの中にひっそりと隠れている無邪気さ。見ているとなんだか甘酸っぱいものが込み上げてくる。


「……はぁ」


 また溢れたため息。


「なになに? どうしたの?」

「ユトちゃんなんでタオルなの?」


 続いてニキとリリシャがやって来る。


「まぁ……」


 リリシャは、ビキニだけど、えっとホルターネックとかいうんじゃなかったかな。なんかお店で見たような気がする。フリアと買い物に行ったとき色々見たけど、デザインもかわいいし、こういうのなら着てみたい……じゃないじゃない。

 なんか、もう自分が男とかそういう感覚も曖昧になってきたなぁ。

 そして……、ニキは……、スク水ですか……。


「ユト。何か言いたいことがあるのかなぁ?」


 いや、特には……。

 まぁ、ロリにはスク水っていうイメージがあったけど、まさにですねニキさん。どうしてこんなに似合うんだろうなぁ。尻尾利するなぁ。でもこれで同い年っていうんだからなんか背徳感が……。


「…………」


 ああ、睨まないで……。


「ねえ、早く泳ごう? せっかくこんなきれいな海があるんだから!」

「それではユトさん! タオルなんておいて海ですわ!」

「海ですよ!」


 カンナちゃんが僕のタオルを剥ぎ取る。


「わっ!」


 あっれぇ、なんか前にも似たようなことがあった気が……。


「あ、かわいい」

「ふふ……、私にかかればこんなものよ! ユトに合う水着の中から一番似合うものをチョイス! 下見しておいた甲斐があったわ! うふふ、はははははっ!」


 フリアが高々と笑う。

 っていうか、そんなことしてたんですかあなたは!


「ユトはここが控えめだけど、チューブトップの水着ならそれとなくフォローできて、フリルのおかげで可愛さアピールも──」

「フリア恥ずかしいからそんな説明要らないって!」


 ああ、くそっ、なんで僕は女の子達に囲まれて水着披露なんてしてるんだ。これなら最初からタオルなんて巻くんじゃなかった。


「……これからがいいとこなのに」


 フリアはむすっと口を尖らせる。


「と、とにかく泳ごう!」

「そうですわ!」

「うーみー!」


 そう僕が叫んだのを皮切りに皆が海へ走っていく。


「あ、でも、準備運動は絶対してください!」

「はーい」


 カンナちゃんの注意喚起で皆が足を止めた。











 はあ。

 なんでこうやって水にただ浮いてる状態って気持ちいいんだろ。

 日差しは暑いけど、水は冷たくてちょうどいい。

 あー、ずっとこうしてたいなぁ。


「なあ、ユトちゃん」

「わわっ!」


 突然声がして僕は慌てて体制を起こした。


「な、なんだトーヤ君か……」


 さっきの浮いてる格好はちょっとはしたないから…………、って、女の子してる場合じゃない。

 トーヤ君は真剣な表情だった。


「どうしたの?」

「あの二人は?」

「あの二人?」

「グリフとアル……、いや、ミコか。あの二人は何してるんだ?」

「あー、なんか屋根を貸してくれたお礼にってロザリーさんの別荘の掃除をしてるよ。今日のご飯も用意してくれるって。あと、何かの準備があるとかないとか」

「そうか……」


 トーヤ君はまだあの二人を信用できていないようだ。

 アルカならまだしも、あの二人ならそんなに心配する必要はないと思うんだけど。


「何か怪しい動きがあったら俺にも言って──」


──ゴン!


「あ」


 そんな音と共にトーヤ君は水の中に沈んだ。


「あ、わりぃトーヤ」


 それはクロードがゴムボートでトーヤ君に後ろから突っ込んだ音だった。


「ってぇっ!」


 トーヤ君が後頭部を押さえながら水中から飛び出す。


「クロード! お前俺を殺す気か!?」

「半分」

「はぁっ?!」

「冗談だよ。っていうかなんだ? ユトちゃんと逢い引きか?」

「ちげーよ!」


 意味合いとしては合ってると思うけど。外には漏らせない話だし。


「まあいいわ。スイカ割りするんだとさ。全員参加だぜ!」

「スイカ割り!? わ、私やる!」

「うおっ! ユトちゃんがヤル気満々!」


 ほら、だってあんなに有名だけど知ってるだけで意外とやる機会ってないし!


「んしょ」


 クロードが乗ってきたボートに僕も乗り込む。


「ちょ、ユ、ユトちゃん?! 狭いって!」

「ほらクロード君! 海岸までゴー!」

「わ、分かったって」

「ほらトーヤ君もっ!」

「あ、ああ」


 スイカ割り!

 うん、楽しみ!


「…………」











 浜辺に戻るとすでに皆が集まってスイカを取り囲んでいた。木刀と手拭いも用意してある。


「あ、来た来た!」

「トーヤ君もクロード君もユトもはやくはやく! いつでもぶちかませるよ!」

「この緑の中身をぶちまけてやるんですよ」


 なんかニキとカンナちゃんの物言いが怖い。


「それじゃあ殺りたい人!」

「なんか、言葉の意味合いが違って聞こえるんだが」

「はいはい!」


 手を上げたのは僕とリリシャとニキとロザリーさんだった。


「四人か」

「えー、私やりたいなー」

「私もやりたい!」

「私もやりたいですわ!」


 スイカは一つ。

 当然割ってしまえばそこまで。つまりスイカ割りをできるのは一人だけ。


「じゃんけんね!」

「望むところ!」

「ここは譲れないよ!」

「ですわ!」


 この戦いですべてが決まる!


「おーい、たかがじゃんけんだぜ。ほどほどに」

「ふふっ、なんだか昔を思い出すわね」

「フリアさん?」

「ユトはとってもじゃんけんが弱いのよ」

「は?」

「孤児院の皆となにかを賭けてじゃんけんするのはいいけど、あの子が勝ってるのを見たことは一度もないわ」

「そ、そうなんですか……」

「まぁ、ババ抜きだけは強いんだけど、ね」

「それはよーく知ってます……」


 フリアの言う通りだ。

 何かを賭けたじゃんけんでは勝ったことがない。


「じゃーんけーん……」


 だがそれがなんだ!

 僕はここでそんなジンクスと運命を振り払い新たな未来の一歩を……。


「ぽん!」

「…………」


 踏み出せなかった。


「やっばりまげだぁ……」


 無理だったんだ……。所詮僕の実力ではこの程度が限界……。この戦いに勝てなかったせいであのスイカは僕以外の誰かに蹂躙されてしまうんだ……。


「も、ものすごくユトさんが落ち込んでますわ……」

「ロザリーさん、情けは無用よ。これは真剣勝負なの! 敗者は散る。そして勝者のみがあのつるぎを手にすることができるの!」

「そう! この悲しい戦いに終止符を打つためにも私たちは最後の一人になるまで戦い続けないとダメなんだよ!」

「わ、分かりましたわ!」


 ロザリーさんが落ち込んでいる僕の肩に手を置く。


「ユトさん、あなたの想いは私が引き継ぎますわ!」

「ロ、ロザリーさん……」


 僕はロザリーさんの手を強く握った。


「いやこれそんな深刻な話じゃねぇから」


 クロードが割りと冷静なツッコミを入れる。


「じゃーんけーん!」











 結果、碧の悪魔を打ち砕く剣を手にしたのはリリシャだった。


「志半ばで散っていった皆の思いを背負い、私は……、私は!」

「スイカ割りにそんなストーリー性は要らないですよ。早く割ってください!」

「それもそうね」


 リリシャは手拭いで目隠しをした。

 そしてその場でくるくると回り、方向がわからなくなるようにする。本来なら、ここから皆で声をかけながらスイカの位置まで誘導していくのだが。


「リリシャー、右だ右!」

「あ、いきすぎですわ!」

「そのまままっすぐだよ!」

「もう少しひだ…………」


 ここがスイカ割りの醍醐味とも言えるところだ。

 しかしリリシャは、最初こそ声を頼りにしていたけど……。


──スタスタ


──ぶんっ!


──パッカーン!


「おおう?!」


 まるで全てが見えているかのような滑らかな立ち回りで、見事にスイカを割ってのけたのだった。

 しかも綺麗に人数分に別れている。


「…………(唖然)」

「な、なにかしら。今とんでもない達人技を見てる気がするわ」

「ふっ、スイカ割りも努力すればこんなものよ」


 いやどこに努力注いでるのこの子?!


「ま、まあ、とにかくスイカを食べましょう!」

「そうだな」


 それぞれがスイカを手に取る。


「おお! 俺の分もちゃんとあるぜ!」


 クロードがそんな当たり前の事を言う。

 カンナちゃんならやりかねないけど、リリシャなら大丈夫だとおもう。


「いただきます!」


 皆が一斉にシャクリとスイカをかじる。


「……」


 そして皆が同様に微妙な表情を浮かべた。


「ぬるい……」

「当然ですよ! じゃんけんの勝敗が決まる度にくだらない茶番を挟んでたんですから!」

「「「「すみませんでした」」」」


 僕たちは頭を下げた。











むむ……、人数が多いと書くのがめん……、難しい。

一人称視点だとやっぱりやりにくいのか。

あとリリシャの口調とキャラが定まらない。

ぶれぶれですみません。

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