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僕と彼らの異世界譚  作者: 浮魚塩
激動!?修学旅行・魔法学校交流戦
43/55

─41─

こっそり投下。


 夜。

 クラウス魔法学校の食堂で、クラウスとランバートの交流会が行われた。

 食事はバイキング形式で各々が思い思いに食事をとっていた。


「すごい戦いでしたわ! ユトさん!」

「あの人外の中で立派に戦ったと思いますよ」

「は、はは……」


 カンナちゃん、毒が強めだね……。

 でもまぁ、僕たち一般生徒からしたら、上位の人たちは別次元のように思えるのも確かだ。


「人外とは心外だぜ……、カンナちゃん」

「カンナ、俺たちも頑張ってるんだ」

「頑張って人間をやめるといいんです」


 カンナちゃんはにこりと笑う。


「と、とはいえ、ユトちゃんは本当にいい試合をしたよな」

「そういえば、対戦相手と何か話していたようですが、なんだったのでしょう?」

「あー……、それは……」

「見つけたよ愛しき君!」


 うわ出た。


「フフッ、さあアルシャマさん! 僕とまろやかで甘いひとときを過ごそうじゃないか!」

「なんですかこの勘違い紳士は」


 カンナちゃんが忌避の眼差しをアルバートに向ける。


「このふわふわマンは気にしないで」


 ふわふわマンの隣には小さな少女。


「ニキか」

「や、トーヤ君、試合ぶり!」


 クラウスの学年トップ、トーヤ君と対戦したニキという子だ。

 桃色の長い髪の毛を後ろで一本の長い三つ編みにしていて、彼女が動く度にそれは大きく揺れていた。

 顔立ちも体つきも同じ年齢とは思えない幼さ。


「…………」


 ニキがジッと僕の方を見ていた。

 あー、なんかこの子妙な鋭さがあるっぽい。


「…………」


 ニキは黙ってロザリーさんのに近づいた。

 そして。


「え!? な、なんですの?!」


 なぜかロザリーさんの胸をさわった。


──ぽよんぽよん


「……ダメ、テキ!」

「え? え?」


 次にカンナちゃんに近づき。


「なんのつもりですか?」


 また胸を触る。


──ぷにぷに


「……テキ?!」

「なんですその微妙な反応は!?」


 そして僕の所に来て。


──ぺたぺた


「……」

「……」

「……よし、ナカマ!」

「くっ……!」


 なんだろう、ひどい屈辱感と敗北感が……。


「えっと、アルバートと戦った人だよね? 初めまして、ニキ・フレースベルクです」


 ニキがぺこりと頭を下げた。


「あ、ユト・アルシャマです」


 僕も頭を下げる。


「それじゃあユト!」


 ニキはばっと頭をあげる。


「今日から二人で『ナイスチチーズ』の結成だね!」

「な、なにそれ……?」

「この胸囲の格差社会に異を唱える勇気ある人達の称号だよ!」

「そ、そうなんだ……」


 よくわからないけどあんまり嬉しくない。


「さあアルシャマさん! 自己紹介も終わった! 少しだけ付き合ってくれたまえ!」


 アルバートが僕の腕を掴み、連れ去ろうとする。

 まあ、約束だから仕方ない。

 僕は渋々ついていくことにしたのだが……。


──ガシッ!


 反対側の腕をニキが掴む。


「今日の試合で、ユトに興味が湧いちゃった。あっちでお話ししよう?」

「え?」

「ふふっ、いけないお嬢さんだ。アルシャマさんは僕と先約があるんだよ?」

「ふわふわマンとの約束なんてどうでもいいからあっち行こう?」

「ちょ……」

「君も聞き分けがないね? フレースベルクさん」

「あんた二番目、私一番目」

「おや、それは今出すべき話ではないと思わないかい? なんなら、今この場でその順位を変えてもいいんだよ?」

「できるならねー」


 なんだか穏やかじゃない空気になってきた。

 順位を掛けて争うのはどうぞ勝手にしてくださいって思うけど、僕が原因でケンカになるのは気分がよくない。


「ま、待って! どっちの話も聞くから、ケンカしないで!」

「ふっ。それは嬉しいことだね」

「やったね! 私の話も聞いてくれるんだ?」


 二人とも喜んでる。

 とりあえずこれでこの場は……。


「だからどちらが……」

「先におしゃべりするか……」

「「決めないと!」」


 ダメだああああっ!!


「ちょっ、ちょっと!」


 まさに一触即発。

 私のために争わないでー!

 うわぁ、初めて使ったこの言葉……。

 一度使ってみたかったんだぁ。

 って、いやいや、逃避してる場合じゃない!


「わわっ! 二人とも!」

「いくよ、フレースベルクさん!」

「望むところだぁっ!」


 こんな所で一番と二番が争ったら滅茶苦茶だよ!


「やめっ……!」

「はいはいストップだ」


 トーヤ君が二人の間に入った。


「俺、一番より強い一番。おーけー?」

「……」

「……」


 ニキとアルバートは黙って手を引いた。


「ここで争っても周囲に迷惑がかかるね。ここは一時停戦だよ、フレースベルクさん?」

「そうだね」


 流石と言うか、この二人を黙らせちゃうあたり、やっぱりトーヤ君の実力は相当なんだろうなと思う。


「ニキ、お前が悪い。ここは先約がある彼に譲れ。ユトちゃんはどっちとも話すって言ってるんだから」

「むぅ……。仕方ないなぁ……」


 ニキはとても不満そうだったが、状況的に自分が悪いのは分かっているようで、渋々身を引くことにしたようだ。


「それじゃあアルシャマさん、改めてよろしく」

「う、うん……」


 どんな話をするのか見当がつかないけど、約束は約束だ。

 ……若干気が重い。

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