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僕と彼らの異世界譚  作者: 浮魚塩
激動!?修学旅行・竜の巫女
33/55

─32─

いつもの時間に出せなかった(´・ω・`)

 センテルディアタワーと言えば、センテルディア一高い塔(実質世界一)で、定番の観光スポットだ。

 塔の屋上は展望台になっていて、この中央都市どころか、隣街まで一望できるほどだった。


「おお! すげぇ!」

「素敵な景色ですわ!」

「あ、線路も見える」

「絶景とはこのことだな」


 窓際の手すりに寄りかかって、みんな口々に感想を述べるが。


「馬鹿は高いところが好きと言いますがみんな馬鹿だったんですかそうですか」


 カンナちゃんは一人、中央の方で不機嫌そうに腕を組んでいた。


「カンナちゃん?」

「そんなに高いところが好きなら鳥にでも生まれればよかったんですよ」


 早口で棒読み気味、おまけに声が少し震えている。


「カンナさーん」


 ロザリーさんがニヤリと口元をつり上げる。


「な、な、なんですかロザリーちゃん」


 カンナちゃんには珍しく動揺が見て取れる。


「いえ、素敵な眺めですし、見ないのは勿体ないですわよ? と、思いまして」

「そうだぜカンナちゃん! 中央都市なんて滅多に来られる訳じゃないんだし、出来るときにやっとかないと損だぜ!」

「ロザリーとクロードの言うとおりだな」

「私もそう思うなぁ」


 カンナちゃんの口がヒクヒクと動いていた。

 それにしても、みんなわざとなのか本当に気付いてないのか分からない。

 どう見てもあれは。

 僕は事情を知ってそうなロザリーさんに耳打ちをする。


「カンナちゃんてもしかして……」

「ええ、高所恐怖症ですわ」


 やっぱり……。


「だったらあんまり……」

「いいんですの。本人はそのことに関して何も言ってないんですから。それにカンナさんのこんな姿が見られることは滅多にありませんわよ?」


 ロザリーさんはにこりと笑った。


「あ、でも……」


 僕らの様子に気付いたカンナちゃんが、キッとこちらを睨んでいた。……涙目で。

 そんなカンナちゃんに僕は空笑いを返すしかできなかった。


「なんだ、ザザナギは見つかったのか。思ったより早かったな」


 そこへレニー先生がやってきた。


「あ、先生」

「班長が迷子とは情けないのもいいとこだ。才能ある人間は何か欠落しているとはよく聞くが……。極度の方向音痴とはな」

「はは……、センテルディアの駅があんなに込んでるとは思わなくて。おまけに迷路みたいに入り組んでましたし、なんとかみんなに追いつこうとして動き回ってたら変な所に……。以後気を付けます」


 先生は小さくため息をついた。


「お前ら、班長から目を離すなよ」


 僕らは「はい」と返事した。

 残念だけどトーヤ君、全然信用がないね……。


「まぁ、ザザナギも気を付け──」


──もふん


 先生になにかふかふかした物がぶつかった。


「ま、まあ! なんですのあれは!?」


 それはセンテルディアタワーを頭に乗せた猫の着ぐるみだった。

 まんまるな瞳に愛らしい口元、そしてどこか気品のあふれるしなやかな髭。


「『センテルにゃん タワーver』!」


 真っ先にトーヤ君が答えた。


「「「「え?」」」」


 一同がトーヤ君に注目した。

 が、当人は目を輝かせたまままるで気にしていないようだった。


「こほん……」


 先生が咳払いをする。

 あ、これは歴史的な説明が入るな。


「この国を興した開拓王、クラウス・センテルディアは屈指の愛猫家で知られていてな。このセンテルにゃんは彼が飼っていた猫がモデルとなっていて……、……っと、やはりか……」


 先生は額を抑えて肩を落とした。


「お、おいトーヤ! どこ行くんだよ! センテルにゃんについていくなって!」

「わ、私はそろそろ降りるべきだと思うですが……」

「まあ! センテルにゃんのQVですわ! あら! こちらは塔の着ぐるみを着てますのね!」


 みんなまるで聞いてなかった。


「はぁ、まったく、私の話を聞いてくれるのはアルシャマくらいか……。普段はぼーっとしてるが、実はよい生徒だったんだな!」


 先生基準がおかしいです。


「しかし私はお前等の相手をするのに疲れた。建国歴史館で心の傷を癒すとするよ……」


 先生癒し方が独特です。


「お、お疲れさまです……」


 僕は先生に頭を下げた。


「それじゃあまぁ……」


 班のみんなをとりあえず集めよう……。

 これ僕の仕事じゃないよね?











「ふふ……」


 トーヤ君は掌サイズのセンテルにゃんを見つめてニヤニヤしていた。

 その隣をクロードが保護者みたいに歩いている。

 さらにその隣を袋いっぱいのQVを抱えたロザリーさんが歩き、さらにさらにその隣を顔を真っ青にしたカンナちゃんが無言で歩いていた。


「はぁ……」


 ため息がでる。

 班長があの状態じゃ仕方ないと思うけど、この班本当にまとまりがない。

 あ、いや、今はセンテルディアタワーの下のお土産屋で買ったセンテルにゃんの猫耳をお揃いで付けているから、その点に関しては、まだ救いがあるかな。

 他からはどう見えてるか知らないけど。


「ところで次はどこに行くの?」

「ん……」


 僕の発言で我に返ったトーヤ君が時計を見る。


「他に行くには微妙な時間だな。そろそろ集合場所に戻るのがよさそうだ」

「誰かのせいで時間を食ったんですよね」

「なぁ班長さんよぉ?」


 クロードとカンナちゃんが悪い顔でトーヤ君の肩に手をおいた。


「それは悪かったって。何度も謝ってるだろ?」

「ふふ……。トーヤさん? 宿泊所に着いたら罰ゲーム楽しみにしていてくださいな。とっても楽しいものを準備しておきますわ!」

「ユトちゃんも何か準備しておくといいですよ」

「う、うん……」


 ほんと皆悪い顔だ。

 猫耳付けてその顔はなんだか面白い気もするけど……。

 うん、僕も少し考えておこう。

 多分僕も悪い顔してるんだろうな。










久しぶりでみんなの口調や性格に若干違和感が。

逆にロザリーは落ち着いたけど。

怪我の功名か……。


もし感想などあればお願いします。

と、言ってみる。

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