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僕と彼らの異世界譚  作者: 浮魚塩
激動!?修学旅行・竜の巫女
22/55

─21─ アルカ

アルカ視点。

短いです。

若干グロ注意。


視点変更がわかりにくいので、サブタイトルで分かるようにしようかなと、考え中。

 目。

 無数の目。

 私を見る目。


 口。

 汚い口。

 私を貪る口。


 鼻。

 腐った鼻。

 私を嗅ぎつける鼻。


 耳。

 飾り物の耳。

 私を無視する耳。


 手。

 這いずり回る手。

 私を弄ぶ手。


 嫌いだった。

 憎かった。

 怖ろしかった。


 だから潰した。

 だから壊した。

 だから燃やした。










 目を開けると、見慣れた岩の天井があった。

 体を起こして頭を掻き毟る。


「あぁ……」


 久しぶりに嫌な夢を見たわね……。

 洞窟の外は雨だ。

 陰鬱な空気により拍車をかける。


「うわ……」


 寝汗……、いや、冷や汗かしら。

 あんな夢を見たから。

 とにかく着替えよう。

 どこかの家から盗ってきた予備の服がある。

 乱雑に積み重ねた服の中から適当な物を選び、それに着替えていると。


「ミコよ……」


 荘厳で、凛とした声がした。


「そう呼ぶのは止めなさいって言ったでしょ? その名前は棄てたの。何度言わせる気なのよ青銅竜」


 洞窟の奥で二つの瞳が光る。


「我が仕えると決めた主はミコだけだ。アルカ・ラカルトではない」

「はいはい、お説教ならそこいらの蝙蝠にでもしといてちょうだい」

「そのような生き方ではいずれ命を落とすぞ」

「命を落とす? っひっひっひ、まだそんな事言ってるの? 死ぬわけ無いじゃない。この私が!」


 左腕を青銅竜に差し出す。


「さあ餌よ、青銅竜。ここしばらくなにも与えてなかったから、お腹空いてるでしょ?」


 私の左手には何も乗っていない。


「我は、空腹ではない」

「嘘言わないことね。ドラゴンの格が下がるわよ」

「我は喰えぬ」

「いいから黙って喰えってんだよ!」


 洞窟の奥の二つの光が消えた。

 その代わりに、一つの真っ赤な穴が現れた。

 その穴には鋭利な刃物が綺麗に並んでいる。

 穴は私の左腕を飲み込み、そして消えた。


「それでいいのよ。青銅竜」


 左腕は肩の付け根から無くなり、そこからは赤黒い液体がどばどばと溢れていた。


「ミコよ。我は……」

「今更罪悪感でも感じてるの? 私は犯罪者よ? 街の人間を皆殺し、今も尚殺戮を繰り返す。救いようのない悪。あなたはその悪に制裁を下しているだけよ」

「……」


 青銅竜は一度黙り、暫くするとその五月蠅い口を再び開いた。


「我ら竜はもうすぐ人間の文明を壊す」

「あら素敵じゃない。私は大いに構わないわ。あいつらを消してくれるって言うのなら大歓迎よ」

「だがミコよ。我はそなたに仕えている。……そのときが来たとき、我はどうすればよいのだ?」

「好きにしなさいよ。あんたの思うがまま。心に任せてやりたいことをすればいいわ。私みたいにね」

「ならば、我の心は既に決まっている」

「そう……」

「ミコよ」

「さあ青銅竜、行くわよ」

「待て、ミコよ」

「何よ」

「左腕を……」


 左腕からはまだ体液が流れ出ていた。

 あらやだ、流しすぎたわね。後で掃除が面倒だわ……。

 右手で左腕があった場所を、肩から指先にむけてなぞる。

 なぞったところから徐々に腕が現れていく。。

 本当に便利ね、この能力は。

 反吐が出るけど。


「青銅竜」

「どこへ向かう?」


 私は青銅竜に飛び乗る。


「そうね、中央都市にでも行こうかしら」

「ミコよ、また」

「何もしないわ。ちょっと欲しい物があるだけよ」


 私は髪留めを解いた。

 騒ぎになると面倒なのでできる限り変装はしていく。


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