─21─ アルカ
アルカ視点。
短いです。
若干グロ注意。
視点変更がわかりにくいので、サブタイトルで分かるようにしようかなと、考え中。
目。
無数の目。
私を見る目。
口。
汚い口。
私を貪る口。
鼻。
腐った鼻。
私を嗅ぎつける鼻。
耳。
飾り物の耳。
私を無視する耳。
手。
這いずり回る手。
私を弄ぶ手。
嫌いだった。
憎かった。
怖ろしかった。
だから潰した。
だから壊した。
だから燃やした。
◇
目を開けると、見慣れた岩の天井があった。
体を起こして頭を掻き毟る。
「あぁ……」
久しぶりに嫌な夢を見たわね……。
洞窟の外は雨だ。
陰鬱な空気により拍車をかける。
「うわ……」
寝汗……、いや、冷や汗かしら。
あんな夢を見たから。
とにかく着替えよう。
どこかの家から盗ってきた予備の服がある。
乱雑に積み重ねた服の中から適当な物を選び、それに着替えていると。
「ミコよ……」
荘厳で、凛とした声がした。
「そう呼ぶのは止めなさいって言ったでしょ? その名前は棄てたの。何度言わせる気なのよ青銅竜」
洞窟の奥で二つの瞳が光る。
「我が仕えると決めた主はミコだけだ。アルカ・ラカルトではない」
「はいはい、お説教ならそこいらの蝙蝠にでもしといてちょうだい」
「そのような生き方ではいずれ命を落とすぞ」
「命を落とす? っひっひっひ、まだそんな事言ってるの? 死ぬわけ無いじゃない。この私が!」
左腕を青銅竜に差し出す。
「さあ餌よ、青銅竜。ここしばらくなにも与えてなかったから、お腹空いてるでしょ?」
私の左手には何も乗っていない。
「我は、空腹ではない」
「嘘言わないことね。ドラゴンの格が下がるわよ」
「我は喰えぬ」
「いいから黙って喰えってんだよ!」
洞窟の奥の二つの光が消えた。
その代わりに、一つの真っ赤な穴が現れた。
その穴には鋭利な刃物が綺麗に並んでいる。
穴は私の左腕を飲み込み、そして消えた。
「それでいいのよ。青銅竜」
左腕は肩の付け根から無くなり、そこからは赤黒い液体がどばどばと溢れていた。
「ミコよ。我は……」
「今更罪悪感でも感じてるの? 私は犯罪者よ? 街の人間を皆殺し、今も尚殺戮を繰り返す。救いようのない悪。あなたはその悪に制裁を下しているだけよ」
「……」
青銅竜は一度黙り、暫くするとその五月蠅い口を再び開いた。
「我ら竜はもうすぐ人間の文明を壊す」
「あら素敵じゃない。私は大いに構わないわ。あいつらを消してくれるって言うのなら大歓迎よ」
「だがミコよ。我はそなたに仕えている。……そのときが来たとき、我はどうすればよいのだ?」
「好きにしなさいよ。あんたの思うがまま。心に任せてやりたいことをすればいいわ。私みたいにね」
「ならば、我の心は既に決まっている」
「そう……」
「ミコよ」
「さあ青銅竜、行くわよ」
「待て、ミコよ」
「何よ」
「左腕を……」
左腕からはまだ体液が流れ出ていた。
あらやだ、流しすぎたわね。後で掃除が面倒だわ……。
右手で左腕があった場所を、肩から指先にむけてなぞる。
なぞったところから徐々に腕が現れていく。。
本当に便利ね、この能力は。
反吐が出るけど。
「青銅竜」
「どこへ向かう?」
私は青銅竜に飛び乗る。
「そうね、中央都市にでも行こうかしら」
「ミコよ、また」
「何もしないわ。ちょっと欲しい物があるだけよ」
私は髪留めを解いた。
騒ぎになると面倒なのでできる限り変装はしていく。




