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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

日記に書かれている話

作者: 筧 耕一

うまくいかなかった文章ですので生暖かい目で見てください。


 これは僕の初恋の話。

 あの時僕が感じた事、あの時の行動をこれからも忘れないようにする為に、今この日記に記しておく。

 日記だから、こんなに他人行儀に書く必要は無いのだろうけど、もしかしてこれを読む未来の僕は今の僕と違う考えを持っているかもしれない。それとも今と変わらずか……それに、もしかしたら全くの他人が読むかもしれない。


 まず、僕がこの日記を書こうとしたのは僕は決して忘れてはいけない出来事を記録する為だ。

 あの……大好きだった女の子に、もう関係の修復が不可能なほど拒絶されてしまった。あの出来事を……。



 僕の好きなヒトは2人いた。

 1人は、僕の幼い頃からの幼馴染の女の子。

 もう1人は親友として好きって事なんだけど、当時は隣町に住んでいた僕のイトコ。イトコは男の子だ。




 まずは僕の親友について語ろう。


 彼は先ほども紹介したように隣町に住むイトコだ。

 彼は僕の父方の方のイトコで年も僕と同い年だったので、夏休みなどに田舎のおじいちゃん家に行った時などに結構2人で遊んでいた。

 イトコは昔から対人関係が上手く、小学生の頃に一緒に行ったお祭りなんかでも年の離れている見知らぬ屋台のおじさんとすぐに仲良くなったり、おじいちゃん家の隣の家の子達とすぐに仲良くなったりしていた。そんな明るくて気さくな彼だった。


 中学になった時のある長期休暇の時に久しぶりに会うとイトコは急に”ロックに目覚めた~”とか言い出しギターの練習をしていた。僕は隣でそんなイトコの練習を眺めていた。

 また、さらに違う長期休暇の時は、スノーボード、釣り、サッカー、野球、ファッションなどと会うたびに趣味が変わっていくという多趣味なヒトだった。ある程度上手くなるとまた次の新しい趣味を見つけて練習し、また新しい趣味を見つけるという繰り返しだった。


 まぁ僕はそんなイトコの頑張って練習している所を見ていたんだけどね。




 さて、次は幼馴染の女の子について紹介しよう。


 彼女は小さい頃から明るく活発な子で肩まで伸ばしたポニーテールがトレンドマークだった。

 彼女と僕は家が近所だったという事もあって小さい頃からいつも一緒だった。

 内気な僕をいつも引っ張って色々な所に探検などをしていた。


 僕はそんな彼女のポニーテールを見ながら育ったといっても過言ではない。

 もしかして僕はポニーテール萌えなのか? そう思う事もしばしばあった。……さて話を戻そう。



 ほら、よく幼稚園の時に”大きくなったらケッコンしよ~ね”っていう約束が定番じゃないですか?

 僕達もソレを頻繁にしていたそうです。僕が鼻水を垂れ流しながらも一緒にオテテを繋ぎながらね。


 僕達はお互いには覚えてなくて、そんな事があったって後から親に聞かされたんですが。

 それから成長していっても僕達はいつも一緒だった。


 幼稚園では、僕か彼女の親のどちらかが迎えにくるまで一緒に遊んでいたり、小学校にあがってもいつも帰りは2人で帰り、帰宅後にどちらかの家で遊んだりしていた。


 やがて僕も彼女も中学校に上がり、そして同じ高校に入学した。

 受験は結構大変だったが、お互いに不得意科目を教えあい合格に滑り込んだ。

 ちなみに、この時の彼女の髪型もポニーテールだった。


 さすがに大きくなってくると、毎日遊ぶなんてこともなくてお互いに出来た友達と遊ぶ事がほとんどだった。

 ただ、たまには2人きりで帰る事もあった。この時の僕達はまさに友達以上恋人未満という表現が一番適しているのではないか と思う。



 そんなある時に、僕は幼馴染の彼女をいつしか1人の女性として見ていた事に気がついた。


 いつからだろう? 彼女はいつの間にか成長して女の子から女性になっていた。

 彼女は小学生の頃からすでにモテていた。昔はそれがなんとなく誇らしく思っていたときもあったはずなのに、いつの間にかムカムカする時がある事に気づいた。


 今まであまりに近い関係だったから気づくのが遅れたのか分からないが、それが僕の……遅い初恋だった。

 しかし、気持ちを打ち明けるなんてことを僕が出来るはずもなく、友達以上恋人未満という感じのぬるま湯にいつまでも浸かっていた。




 僕は普段の生活では幼馴染の女の子に引っ張られ、長期休暇の時にはイトコの彼に引っ張られると2人のヒーローに囲まれて小学校からずっとそんな輝いていた生活を送っていた。


 僕には幼馴染の女の子にも、イトコにも言っていない秘密があった。

 それは僕にとってのヒーローが2人もいる事、そしてお互いの存在を教えなかった。

だから、僕達が3人で遊ぶなんていう夢の競演は無かった。もしあったら更に面白くなったのかもしれない。


 今思うと、もしかしたら……あの時の僕は……2人を会わせたくなかったのかもしれない。

 だって……あの明るい2人ならきっと波長が合って僕だけが置いてけぼりになる未来を子供ながらも予想していたのかも知れない。





 高校生にもなると自転車や公共機関の乗り物などに乗っていっきに行動範囲が広がった。

 行動範囲が広がったのは勿論僕だけではなく、イトコや幼馴染の彼女もそうだった。


 彼らと遊ぶ度に、”友達と旅行に行ってきた。””他県まで行って買い物してきた””海に行ってきた””バイトを始めた”などと色々な話を聞かされた。

 僕にはそこまでの行動力はなく、彼らの話を聞くだけで満足していた。

 僕に出来るのはせいぜい、隣町に住むイトコと頻繁に会えるようになったという事くらいだ。小さい頃には隣町なんてあまりに遠く感じ長期連休の時しか会えなかったが、いざ大きくなると意外に近かった事を知り、それから僕が隣町まで会いに行った。


 ある時にイトコが僕に、”たまには俺からそっちの家に遊びにいくよ”などと言ってきた。僕は、こっちに買い物に来たいからイトコの家で良いよ。とさりげなく遠慮して次回もイトコの家に集合になった。

 この時の僕は高校生になっても、イトコと幼馴染の彼女をなんとなく会わせたくなかった。

 イトコに、僕が幼馴染に片思いしているなどという事を知られたくなかっただけと思っていた。

 幼馴染の彼女と僕は相変わらず、たまには一緒に帰ったり、お互いの部屋で宿題をやったり、そのまま晩御飯を食べたりしていた。

 勿論この時の僕に気持ちを打ち明ける事が出来るわけがない。やはりこんなに仲が良い幼馴染だと学校でからかわれたりする。僕達は昔からそういうのを言われ慣れていたので適当にやり過ごしていた。 そういう風にからかわれていたが、それでも男子からの彼女の人気は高く、よく呼び出されて告白されていた。……いつも断っていたが。

 僕からみても年々と綺麗になっていく。ただ髪型はいつもと変わらずにポニーテールだった。


 ある時に僕はある男子から、幼馴染の彼女へラブレターを届けてくれ。などとお願いされた。僕はしぶしぶその手紙を彼女は届けた。

 その手紙を彼女に渡すと、始め彼女は僕からのラブレターと勘違いしたようで驚いていたが、やがて差出人に気づいて普通の表情に戻った。

 そして、その手紙を読み終わった後に僕に、”ヘタな仲介人みたいなかっこ悪い事をしないで”とかなり怒っていた。僕の為に怒ってくれていると感じて嬉しかった。





 そんな生活が続き、高校3年になったある時の事だった。


 イトコが友達数人と海に行った時に同い年の女の子数人のグループをナンパして連絡先を交換して、そろそろ付き合えそうと嬉しそうに話していた。

 高校生にもなると恋愛も盛んになるんだなぁ~ などと僕は他人事とノホホンと考えていた。



 またある時に僕と幼馴染の彼女が一緒に勉強している時に事件が起こった。

 珍しく彼女があまり勉強に集中できないらしく、僕の方をチラチラと見てきた。

 僕は彼女の方を見て、なにかあるの? と聞いても、少し赤い顔をしながらもすぐに僕から目を逸らして”なんでもない”とだけ言ってくる。そんなやり取りを数回繰り返すとやがて彼女も諦めたのか一言だけボソッと聞いてきた。


 ”ねぇ、好きな女の子っている?”


 僕はいままで彼女が頻繁に告白されている事は知っていたが、僕達の間で恋愛関係の話をする事はなかった。実際にこんなに頻繁に会ってるんだから、お互いに恋人がいない事は知っていた。

 そんな彼女が急に恋愛関係の話を振ってきたのだ。 僕はあまりの事で慌ててしまい”い、いないよ?”と誤魔化した。

 すると、彼女は少し寂しそうな表情をしながら、”そっかぁ”とだけ呟いた。


 それから僕達はお互いに勉強に戻った。

 しかし、僕は内心凄くドキドキしていた。彼女が急に恋愛関係の話を振ってきた事も理由の一つだが、僕が好きなヒトがいないと言った時の彼女の寂しそうにした表情はいったい……? もしかして僕に……。





 僕はそんな出来事を次にイトコに会った時に少しだけぼかして話してアドバイスを求めた。

 幼馴染をクラスの女の子に、部屋で勉強を図書室でテスト勉強にそれぞれ変更した。

 すると、やはりイトコも話を聞いて”脈ありじゃね?”と僕と同意見だった。

 イトコも今狙っている子に告白してもう少し付き合えそうといい感じらしく、いつかダブルデートをしようと男2人で盛り上がった。

 僕は内心、幼馴染と恋人なんてまるでギャルゲーじゃねーかよ。とテンションがあがった。



 それから僕の方はとくに幼馴染の彼女と変わらない日々を送っていたが、どうやらイトコの方は転機があったらしく、ついに今までアプローチをかけてた女の子とついに恋人になったらしい。

 その後に恋人との楽しいデート話を聞いた。僕もいつか彼女とそんなデートがしたいと思った。





 この時に、僕はこれから起きる転機をまだ知らなかった。




 今思えば、少し前から変化があった。最近、幼馴染の彼女と勉強している時に前のように急に恋愛関係の話を突っ込んできた。

 ”男子ってなに考えてるの?””私の魅力ってどうだと思う? 私には魅力無いのかな?”

 そんな質問をコッチの目を見ながら真剣に聞いてくる。

 今までと違った彼女の一面や、質問内容にコッチはドキドキしっぱなしだった。




 ある日の事。

 また、イトコにアドバイスを求めようと遊びに行こうとしたが、どうやら彼は少し体調を崩したようで、お見舞いに行く事にした。

 僕は彼にまた少しぼかした話をした後に色々アドバイスをしてもらった。

 そんな恋愛関係の流れで、イトコと恋人とのツーショット写真を見せてもらう事になった。

 今までは話しか聞いた事が無く、イトコが好きになった子がどんなに可愛いのか知らなかった。それに実際にツーショット写真を撮ったのはつい先週の事だったらしい。

 写真はケータイに入っているらしく、やがて目的の写真を見つけてケータイ画面を僕の方に向けてきた。

 その写真に映っている2人はラブラブっぷりで抱き合ってこっちを見て笑顔だった。

 とてもお似合いなカップルだと思った。


……

……





……





……








……









……






……





 たとえ……イトコと抱き合っているのが僕の幼馴染の女の子だったとしても……。





 僕の頭の中は真っ白になった。

 そうして一瞬で色々な出来事が頭をよぎった。


 イトコが海でナンパした時……相手は同い年の女の子グループだった。 僕とイトコは同い年。勿論、僕と幼馴染も同い年。つまり……。


 イトコがナンパしたっていうほぼ同じ時に、幼馴染は顔を赤らめながらも僕に、 好きな女の子がいるか 聞いて来た。 つまり、彼女はその時にすでにイトコを好きになっていた?

 好きなヒトが出来たヒトに限って、好きなヒトがいるか周りに聞いてくる法則があった事を忘れていた。

 2人が付き合ってから、彼女は僕に男について聞いてきた。 つまり、より彼氏に好きになってもらおうとした努力だったのかもしれない。



 僕は頭が真っ白になりながらも、イトコのケータイ画面をジッと見ていた。

 すると彼は、恥ずかしそうにケータイ画面を見て、”この写真って2人してバカみたいだろ? 彼女が面白がってこうやって撮るって言って聞かなかったんだ” とテレながら話した。


 この時の記憶はうろ覚えだ。僕はとにかく少しでも早く帰りたくて、彼が体調を悪い事をいいことに体調に響くからと言ってそそくさと帰っていった。




 そうして僕の初恋は終わった。それと同時に親友に絶対言えない秘密が出来た。

 こうして、いままで傍で見守っていたヒーロー達が、今度は傍にいるだけで僕の罪悪感がつのっていった。



 それから月日が経つたびに、 彼女を奪え!と僕の心の一部が言うけど、僕が小さい頃からヒーローだったイトコに欠点などあるはずなかった。

 やはり、僕の子供の頃の予感は当たっており、2人のヒーローを引き合わせてはならなかった。




 まだ彼ら2人とも、僕がお互いの共通の知り合いだと言うことがバレていなかった。

 コレだけは阻止しなければならない。もし、バレたら僕は2人を失う事になるかもしれない。


 自分の彼女の傍に彼女に片思いしている奴がいたらあまりいい気分はしないだろう。それも片思いしている奴が自分の親友だったといたらなおさらだ。


 それから僕は、少しずつ彼らから距離をとった。

 幼馴染の彼女とも一緒に帰るという事や、家で勉強する事もなかった。


 しばらくは僕も様子を伺っていたが、結局彼女は僕に彼氏が出来たことを一切話してくれなかった。僕は最期まで”ただの幼馴染”だったらしい。

 自分の恋心に気づいたのは最近だったが、言ってみれば僕は幼稚園から今までずっと想っていたから、なかなか吹っ切れるのには時間が必要だった。


 イトコが言うノロケ話に出てくる彼女の癖を僕がすでに知っている事だらけだったのが悲しい。これからも僕しか知らない彼女の部分がどんどん減ってきて、その代わりにイトコだけが知っている彼女の一面が増えてくるのだろう。





 そんなある時に、久しぶりにイトコに呼び出された。

 どんな話かビクビクしていたが、集合場所はなぜか病院だった。


 病院に着くと、点滴を持って青白い顔をしたイトコが待っていた。

 話を要約すると、彼は昔から原因不明の持病があって、最近それが悪化してしまい緊急入院する事になったらしい。


 そんな病人の彼が僕に何のようだろう と思っていると、彼は明るく一言言った。



 

 ”俺、もう長くないってさ”



 この言葉を聴いた瞬間の僕の取り乱し方は尋常じゃなかったらしい。病人のイトコすら僕を心配したほどだった。

 落ち着いた後にイトコは本題を切り出した。

「俺はもう病院から出られない。 ここじゃ携帯使えないから彼女から来たメールとかを代わりに返信してくれないか?……俺は臆病だから彼女に入院してる事も告げてないし。これからも出来れば言いたくない。 そしていつか俺が……の後に自然消滅してくれれば良いと思ってる」

 イトコは僕にワガママなお願いを聞いてくれるか頼んできた。


 この時の僕は、すぐに応えられずに何日も回答を先延ばしにした。

 色々と問題が複雑すぎた。


 友情と愛情のどちらを選ぶか。



 いや、実際はそんなきれいごとだけではない。 少なからず僕には欲だってある。それを誰が責められるだろうか?


 イトコの力になってあげたい。 イトコのワガママは許されない事で、いつか僕が凶弾されるかもしれない。 もしかしたら、僕がイトコ達との共通の知人と知っていてこんな無理を押しつけている? いや、イトコがそんな事をするわけない。 それにこの頼みを聞けば、イトコの力になる事が出来ると同時に騙す形とはいえ僕の好きなヒトとメールが出来る。好きなヒトに魅せる彼女の表情を知ってみたいという誘惑にも襲われた。 それに彼女が好意をぶつけて来るメールを僕はどんな顔をして受け止めれば良いのだろう?


 もしイトコの頼みをきくならば、イトコのケータイを預かる形になる。 夜や朝にくるメールを返信しなければならないし、学校が終わった後に病院に行ってイトコにこんなやり取りがあった事を報告しなければならない。  


 僕はその悪魔のような取引に……応じた。

 友情をとった。


 やはり、好きなヒトを少しでも知りたいという誘惑には勝てなかったのが決定打だった。






 それからの僕は、楽しかったし辛かった。


 好きなヒトから来るメールは凄く嬉しかった。……僕宛ではないけれど。 そして毎日僕はイトコにケータイを見せて報告した。

 ”会いたい”というメールが着ても忙しいと理由をつけて断った。 休み時間に彼女がケータイをいじって、その数秒後に僕のポケットにはいっているイトコの携帯にメールの着信が来たこともある。

 僕はすぐそばで自分と話している幼馴染を騙しているんだ。


 夜に自分の部屋の机にイトコのケータイを置いていると、彼女からメールが届く。

 何日かメールして気づいた事だが、どうやら彼女は毎日頻繁にメールするタイプだったらしい。

それに、 ”今なにしてるー?” ”疲れた~” などと毎回なんでもないような事を送ってくる。




 はじめは罪悪感でいっぱいだったが、人間はいつか痛みにも麻痺してしまう という事を知った。

 僕は数ヶ月そんな生活を送っていると次第に麻痺していた。

 ある時、僕はイトコの携帯と僕本来の携帯からの同時にメールを送って、どちらが早く返信がくるかの実験を行った。そんなお遊びが平然と出来るほど麻痺していた事に当時の僕は気づかなかった。 ちなみに実験結果は……ほとんど同時に来た………………ら良かったのだが僕の惨敗だった。……4時間ほど。




 ある時、イトコが亡くなった。








 僕はここでイトコとの約束を止めて、もう彼女からのメールを無視すれば全てが丸くおさまった。


 だが、僕はもうこの世にイトコがいないくせに彼女とのメールを続けた。


 イトコの親には、イトコを思ってくれてありがとう などと言われたが、果たして僕はイトコを想っての行動なのだろうか?


 そんなウソも長くは続かない。当たり前だ。ヒトが1人亡くなったのだ。すぐにイトコの友達だって亡くなったことを知るし、人づてに彼女だって知るだろう。

 だってその証拠に、さっきイトコの携帯に来たメールの内容が……。




”あんた、誰?”



 僕は震えながらもそのメールを無視した。


 次の日に、彼女が僕の部屋にきた。

 いつも綺麗にセットしてあるポニーテールがぼさぼさで、いまだに目が赤く、泣いていたのが丸分かりだった。そんな彼女に理由を聞くと、”友達が亡くなった”とだけ教えてくれた。

 ”僕には最期まで教えてくれないんだ”と思いながらも色々とその……友達……の事を聞いた。



 やはり、僕にもヒトの心が残っていたのか。罪悪感に押しつぶされて途中で気分が悪くなり彼女を部屋に残したままトイレに向かい気分転換にむかった。


 トイレの帰り、お菓子や飲み物を持って部屋に戻ると、彼女がこっちに背を向けてなにかしていた。

 回りこんでなにをしているか見ると、ケータイを見ていた。……僕が机に閉まっておいたはずのイトコのケータイを。


”あのメールあんただったんだ。”



 僕達はこれを最期に関係が終わった。

 あの時の彼女の冷たい表情を僕は一生忘れないだろう。







 それから僕は数年後、他県の大学を受験して逃げた。

 誰も僕を知らない土地にくる事で僕の罪の意識が軽くなってきてしまった事を感じた。

 そんなある時、こんな僕に好意を寄せてくれた女の子がいた。

 あの出来事から数年たち、僕は幸せになる資格があるのだろうか?


 これから、僕は女の子からの告白の返事をしにいく。

 本来ならすぐにOKしたかったのだが、僕にそんな資格があるかどうかで返事を先延ばしにしていた。

 最期の最期まで考えて返事をするつもりで、僕は待ち合わせ場所に行くまでにいままでの出来事を日記に書いて思い出しながら来た。……そんな事を書いているうちに女の子の姿が見えてきた。


 ついに僕の答えは決まった。


 もう女の子が前だからこれ以上日記を書く事は出来ない。僕の返事はこの日記の読者の想像にお任せします。……では。
























































FIN???

















































































































































































































































 【これから先は、書きながら思いついたアイデアを強引に入れたものです。ガラッと雰囲気変わるはず・・・?です。勿論この小説はフィクションです】


























































































 



 「みなさん今、ご覧になった日記はどうでしたか?」

 TV局のアナウンサーが始めはカメラに向かって話し、次に隣の年配の男性にも話を振った。

 今はニュースの収録中で、アナウンサーの隣にいた男性は、犯罪心理学に詳しい解説者だった。


「この日記に関しては、先月死刑になった容疑者のものですね。先日初めて公開されました」

 そしてアナウンサーが白い手袋をして机に置かれている話題の日記を持ち上げた。


「この日記は表紙とかが焦げているのはなんででしょうか?」

 アナウンサーは日記の焦げている部分を指差し、解説者に尋ねた。


「それはですね。警察が容疑者の部屋に家宅捜索した時にこの日記を見つけたのですが、この日記は机の引き出しを二重底にして隠してあったのです。その時にその日記を誰にも読ませないようにしたためか、特定の方法以外で二重底を開けると灯油が日記に引火するというトラップが仕掛けてありました」

 解説者がそう語り、アナウンサーは頷きながら話の続きをうながした。

「しかし、この日記があるって事は、そのトラップが失敗した という事ですよね?」


「そうですね。さすがに容疑者も引火の範囲を調べる事は出来なかったようで、火力が不十分で日記は無事でした。しかし、捜査員が火傷をする被害があった事が現状です。一度に多くの捜査員の方が部屋を調べていたので、引火騒動があり、そこから資料を詰め込んだダンボールに引火して火傷したりと数人のヒトが火傷を負ったそうです」


 解説者が一通り話し終えたのを感じとり、アナウンサーは容疑者のこれまでの事件のいきさつに話を戻した。

 後ろからボードが出てきて、ボードには分かりやすく書かれていた。

 「今回、容疑者は連続殺人犯として死刑が執行されました。 では彼がどのように犯行におよんだのか見て行きましょう。 合計4人の被害者が居て、その全てがポニーテールをしていた女性 という共通点がありますね」

 そこで解説者が口をはさんだ。

「そうですね。殺害方法はバラバラだったんですが、そのような共通点があり、捜査を進めていました。さきほどの日記にあったように、彼はポニーテールの女性に怨みがあったと思われます」

 そこでアナウンサーが口をはさむ。

「しかし、先ほどの日記では幼馴染のポニーテールの子を怨んでいるというような事はありませんでしたが?」

 その反論を聞いて、解説者が少しだけニヤリとした。まるでこの質問を待っていたかのようだった。

「さきほどの日記ではそうだったという事です」

「つまり、あの日記に書かれていた、大学のときの告白の返事の後に、幼馴染の子を逆恨みしたという事ですか? あの日記を読むかぎり、容疑者とは知らなければ日記の書き手に同情してしまう所がなかったといえばウソになるんですが、みなさんはどうでしょう?」

 少しだけアナウンサーはTVの向こうの視聴者に視線を投げた。


「まず、1人目の被害者ですがそれが日記に出てきて幼馴染の彼女でした。いえ、正確には幼馴染の彼女のモデルになった子が正しいですね」

 解説者が衝撃の事実を言う。

「ん? それはどういう意味でしょうか? モデルとは?」

「実はあの日記自体が容疑者の作り話だという事が調べで分かりました。 実際に彼は幼稚園で幼馴染だった彼女とは、単なる顔見知り程度の付き合いだそうです。小学生以来顔を合わせていないそうです。それから彼には居たとされているイトコも同様に小学生の頃に病死しています」

「つまりあの日記は全てデタラメです。トラップが仕掛けてある机に閉まってあったので、そこまで隠すのだから一時はあの日記の内容が真実だと思われたのですが、よくよく調べたらあの日記通りにはいかない事が多かったのです」


「しかし、それはあくまでも容疑者の理想な世界という事だったのではないですか? まぁなんともいえない辛い出来事だった内容でしたが……」

「そうかもしれないですが、容疑者は実際にあの日記と少しだけ似ているような体験があったことがあったようです。ちょっとした三角関係というやつですね。ただそれなら良かったのですが、容疑者が好きになった女の子が悪質だった事で心に傷ができたらしいです。その女の子は容疑者の好意を知って、それを利用できるだけ利用する子だったらしいです。その彼氏も彼女同様な正確だったとか。 イメージとしては先ほどの日記に出てきた二人が容疑者の気持ちを知っていて、あのような行動をしていた。というのが近いですかね? 結局その女の子も殺害された被害者の1人になってしまいましたが……」


「ということは、その女の子もポニーテールだったのですか……。さて……容疑者はどんな人物なのでしょうか?」


「始めはそのような心の傷や、さきほどの妄想の日記をあたかも自分の出来事のように語る容疑者を見て、精神鑑定が必要だと思われていました」

「確かにそういう流れでもおかしくないですよね?」

「はい。しかし、途中でまたしても新たな事実が分かったのです。あの日記は逮捕される少し前に書かれていたのです。そして一時は火力ミスによって日記が無事だったと思われていたのが、あれは狙って火力を抑えて日記を発見させるようにした事、部屋に引火性のスプレー缶が数箇所に置いてあったりと、下手すると引き出しトラップの際に引火する危険があったのですが、あれも意図的に仕組まれていたと思われます」

「えっと……それによってなにか犯人にメリットが?」


「あの引火騒動があったからこそ、日記に信憑性があるという思い込みが発生してしまった事。そして、捜査員にヤケドそして最悪は家が全焼させようとした訳です。自分は部屋に引火トラップを仕掛けて偶然スプレー缶を部屋のいたる所に置いていただけで、そのトラップに引っかかり家が燃えても、捜査員が焼死してもそれは警察の強引な捜査のミス というようになるように組まれた罠だったのです。 捜査の過程で一軒家を全焼させるミスなんて前代未聞ですからね。そこまで計算している犯人には精神鑑定は必要ではない と結論が出て死刑にいたりました」

「解説ありがとうございました。 さて、今日はこれでこのコーナー、”日記に書かれている話”を終わります」

 アナウンサーと解説者がお辞儀をして番組が終わった。









































FIN !!!









今回の小説にはテーマがありました。

”三角関係” ”本文が真実とは限らない” ”主観と事実の相違”

 これらを組み込んだのですが、僕にはまだ その域に達していなく、途中で飽きてしまったのが現実です。


 この文章をこうすればもう少し、見られる小説になるよ? っていうヒトがいたらぜひ教えてください。

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