【序章】 生まれ付いての一つの命
先を行く未来。遅れた過去。
命を望み、世界を臨み――――。
生まれ持った身体は、道化人形。
『死』とは何だろう。
『死の定義』はこの物語を語る上で対となる話。
宗教的な、哲学的な死。
天国と地獄。極楽浄土や輪廻転生など"その後"の世界。
念仏を唱えれば極楽浄土へ旅立てるなど、生まれ帯びた人間本来の原罪など。
死は不浄なものだとか、肉体は抜け殻の様に滅び朽ち果てるが魂だけは永遠と生き続け、新しい拠り所となる肉体に生まれ落ちるなどの輪廻転生やら行為転生。六道輪廻など。
それら全ては、本当に存在するものだろうか?
それぞれの思想の中にそれぞれの罰が存在する。
生者は、聖者ではいられない。死者は、生前の罰に揉まれながら苦行を積まなければいけないのだろうか?
生きていると草花や生き物を踏みつけ殺すことはあるだろう。
生きていると淫らな思想や行為に及ぶこともあるだろう。
後ろめたい行為は人間誰にもある。それを悔やむだけでは許されない罰も存在する。
でも、本当は天国や地獄や輪廻なんてものはなくて、宗教はただ人間が作りだした理想像や創造物で・・・
僕が犯した罪や積んできた善行は、全て'無'となって消え、誰にも評価されず、誰にも罰せられず。
そんなことで・・・
僕は、本当にまたきちんと生まれてくることができるのだろうか?仏や神やら天使などになるなどそんな大それたものは望まない。人としてまたこの世界に生まれてくることが・・・。
こんな葛藤を続けるくらいなら、いっそ、僕は――――――――。