,とある孤児院院長の一幕
なぜにこんな貧乏孤児院にやんごとなきお方達が訪れるのかが不思議だ?
以前ここを卒院して街で自活している娘が王室法務官様を連れて来た事があったのだがここを見て何か思うことがあったらしく、色々と力となってくれている。
聞くところによると辞表片手に上奏して弱者のための法整備とか財源確保もしてくださっているらしい。
そのことに礼を言うと
「なに、かっこつけたいだけですよ。これは私利私欲ですから何も気になさらず私を利用して子供らを幸せにしてやってください。」
偽悪ぶってても法務官様の子供らを見る目は穏やかで日々健やかに育っていることを喜んでいるようだった。
私一人では力が足りなくて半分くらいの子供が成人することもできずに死んで居たのに法務官様が来てからは3人しか死んでいない。それでも法務官様は申し訳なさそうに自らの力不足を詫びていた。
娘も法務官様のそばで慰めていたが国を守る者として零れ落ちてしまう幼い命があると言うことが許せないのだろう。
法務官様、貴方様が顔を歪めて男泣きして流す涙であの子達も浮かばれましょう。
ですから、その流し続ける涙をとめて堂々として欲しいのです。この孤児院を救ってくださった貴方は私等の為だけに泣いて打ち臥していい御方ではないのですから・・・・・・・・・・・
で、今日は王妃様を中心に王族の方々が御視察に来られているのであるが法務官様は子供達を守ろうとしているように見える。子供達の無邪気な行動に同行のやんごとなき方々の不興を買わないようにしているのか?
まさか、無礼打ちとかするほどの馬鹿が居るわけでもないだろうに・・・・・・・・・
「いや、いるんですよ・・・・・・・・院長(汗
一応護衛官には多少のことでは無礼打ちにしないように釘はさしているんですけど・・・・・・・・・・・まぁ、護衛官も子供に甘い部分がありますからせいぜい拳骨くらいで済ませるでしょうが(苦笑」
そ、そうですか・・・・・・・ 子供達にも伝えておきましょう・・・・・・・・・
「それに、ここには廃絶された南部河岸都市の城伯の庶子が居るじゃないですか・・・・・・・・ 庶子の方としても王族の方々としてもまだ会わせないほうが良いと思うのですが・・・・・・・・・・・子供の粗相よりも大事になるでしょうし勘弁して欲しいですよ。こっちの仕事も増えますしね。」
彼は風邪を引いて離れで寝ていることにしておきましょう・・・・・・・・・・・(汗
ある程度分別もある子だし大丈夫でしょう、ついでに着たばかりの子とか大人を怖がる子とかの面倒を見てもらいましょう・・・・・・
王族の方々がお見えになられたようですね、法務官様参りましょうか。
説明諸々はお願いいたしますよ。
「王族の皆様方のご尽力でこの孤児院の状況は前向きになり、昨年までの生存率が・・・・・・・・・・・(略」
法務官様は慣れていますなぁ・・・・・・・・・・・・・
その後子供達と触れ合っているのだが、柳腰で眼鏡の淑女様は男の子達を集めて優しく撫でながら話をしており、壮年の偉丈夫様は女の子達を肩車したり持ち上げたりして遊んでいる。
あの子らも会うことのできない親に触れ合っているかのように喜んでいる。その脇で兵装をつけた護衛達が外套を引っ張られたりして振り払うべきかどうか悩んでいる。
時折、はぁはぁとかじゅるりという音が聞こえるが子供らの相手で体力を使っているのだろう、子供達にあまり無茶はしないように釘を刺しているのだが淑女様も偉丈夫様も気にすることがないとおおらかに子供らの行動を受け入れている。
なんか、お持ち帰りしていい?とか言って法務官様を困らせているけど、うちの子等の愛くるしさを考えればわかる気がする・・・・・・・・・・・ おや、親馬鹿丸出しだったかな?
「いえ、王妹殿下は少年愛好だし王兄殿下は少女愛好ですからねぇ・・・・・・・ 彼らの助力でここの資金援助とか決定したのですが、複雑な気持ちです。一応あの御方達は良識人ですがコレクション化されないように気をつけてください。」
そんなこと知りたくもなかった・・・・・・・・・・・(汗
王妃様も子供達に質問攻めにされたり抱きつかれたりで押され気味であるが常に笑みを浮かべて受け入れている。王妃付の護衛達も交代で王妃のほうに気を遣りながら男の子相手剣術の稽古をしている。侍女たちはそんな風景を微笑ましく眺めながらお茶の用意をする。
そんな中、一番の甘えん坊(7歳)が
「王妃様のおばちゃん・・・・・・・・・」
「お、おば・・・・・・・・・(絶句」
なんか空気が凍った・・・・・・・・・・・・ 空が翳った気がして、遠く雷鳴が轟いている・・・・・・・・・
王妃様を見ると笑顔のままどす黒い瘴気をうごめかせている。
「妹御、こ、子供が言ったことだし気にするな・・・・・・・・・」
「ね、ねーさま大人気ないですわよ・・・・・・・・・! 実際・・・・・・・・・・ひぃっ!! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい(以下エンドレス」
「王妃様、落ち着いてください!!」
「こら、餓鬼!!王妃様に向かってなんて口を!!」
「ひっぅ! ご、ごめごめごめ・・・・・・・・・・っ!!」
周りの子供達もおどろおどろしい雰囲気に当てられ遠巻きにして一歩ずつ逃げようとしている。おばちゃん発言した子供は動くに動けず泣き出しそうな顔をしているのだが泣いたら更に酷いことになると本能で感じているらしく顔がこわばったままである。
「王妃様、実際におば・・・・・・うわぁぁぁ・・・・・・・・!!」
法務官様貴方様は地雷を踏み抜いてしまいましたね。護衛官に不敬罪の現行犯処罰されて半死半生に蠢いている。
さらに恐怖におびえる子供達、それをまもるかのように抱きかかえる王兄殿下と王妹殿下。なんか役得役得とか言う声が聞こえるが気のせいだと思いたい。
ええ、気のせいです・・・・・・・・・・・・
この状況どうしたら・・・・・・・・・・・・
王妃様、この子達から見たら貴方様は母親と同じくらいの年齢ですからついおばちゃんといってしまったのでしょう。この子の母親も若くして亡くしていますし王妃様みたいな若々しい方でも大人と見てしまうのではないのでしょうか?
「坊や、お前の母親はいくつで亡くなったのか?」
「僕のかあさんは17で死んじゃったの、生きていれば王妃様が僕のかあさんと同じくらいだからおばちゃんと言ってしまってごめんなさい。」
何時しか瘴気は晴れ、穏やかな日差しが孤児院を降り注ぐ・・・・・・
「お前の母親は本当に若くして儚くなってしまったんだね。そりゃ、母親の年と重ねてしまうのも仕方ないね・・・・・・・・・・」
王妃様は甘えん坊をそっと抱き寄せて頭を撫でる・・・・・・・・・・・
「寂しかったろ・・・・・・・・・・・」
「うん、最初は寂しくてひもじかったけど。院長先生も居たしここにはみんなも居るし、法務官のおじちゃんが来てからは怖いのも寒いのもひもじいのも追い払ってくれたから今は幸せで寂しくないと胸を張っていえるよ。王妃様。」
「そう、法務官にも一つくらいは人様の役に立つことをできたんだねぇ・・・・・」
「ううん、王妃様法務官様はうちのおねーちゃんの気を引きたくて良くしているんだよ。」
「「そうだよ!!」」
「いつも、おねーちゃんと来るとき、お土産いっぱいなのに一人のときは手ぶらだったりするし・・・・・」
「おやまぁ・・・・ 子供達、その話を色々聞かせておくれ(にやり」
「「うん!!」」
なんか、王妃様と侍女達が食いついていますし、王族の方々もニヤニヤしながら聞いてますし・・・・・・・
法務官様・・・・・・・宮中にお帰りになられたとき大変そうですなぁ・・・・・・
王妃様の餌食にされる姿が目に浮かぶようです(ほろり
その後、穏やかに談笑され王族の方々は更なる支援を約束されて帰城された。
子供達も名残惜しそうに手を振って見送っている・・・・・・・・・・・・
こうやって見ていると心優しき王族と孤児達の心温まる交流なのだが・・・・・・・・・
これ、どうしたらよいのだろう?
無礼打ちされて半死半生法務官様。
その後、王兄殿下と王妹殿下が慰問という名の幼児愛玩行為の為に来院されるのはいうまでもないこと。
甘えん坊の母親(故人)の年齢から考えたら王妃様の実年齢って・・・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・(作者は粛清されました