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月曜日
A-1 あるOLの随想
朝バス停に急ぐ道で、奇妙なものを見た。空き地に注連縄、昨日はなかったはずだ。
少し考えて、ああ、と行き着いた答えは地鎮祭。もうすぐここも家が建つのかとどこか寂しいような、それでいて嬉しいような。
気付くと、目の前をバスが走り去っていた。
B-1 問わず語り
「かつて、この地は処刑場であったという。数多の罪なき者が首を落とされ、その血がこの地を染めたという。
そんなことも知らぬ者はこの地に幾度も家を建て、そこに住んだものを殺してきた。火災が起きても、この地以外には延焼すらしない。彼らは皆、死を求める。」
C-1 とある女子高生
夕方の部活帰り、仔猫が道の真ん中に倒れていた。轢かれたら可哀想だから、歩道に連れていこうと抱え上げようとして、恐ろしくなった。とにかく走って逃げた。家についたときには、嫌な汗が止まらなくなっていた。「だって、気味が悪いじゃん。――目が空洞の猫なんて。」




