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私の仕事

作者: 瑠羽
掲載日:2025/11/03

 こんにちは。私は水分です。今まで色んな物を見、聞き、潤してきました。水分なので、当然、雨になって世界一周旅行なんかしてみたり、またある時は、つららになって人にグサッと刺さってみたりしたものです。

 この前なんて、私の事をバカにしたトーニャというネズミを水溜まりに引きずり込んでみました。仕返しなんてこのくらいしか出来ません。

 そうそう、素敵な出来事もあったんですよ。あれは確か5年前の春。一輪の美しいスミレが土手に咲いていました。私はいつも木の上でしずくになってそのスミレを見ていたんです。するとスミレが

「あなたはいつも僕なんかの事を見ていらっしゃる。どうです、僕の目の前のカタバミの葉に降りてきては。」

と言うので私は

「カタバミに悪いので遠慮します。」

と答えました。するとスミレが

「じゃあ僕の花の中で一休みしてみて下さいよ。」

としつこく言うので

「重いですよ。」

と答えました。スミレは

「構いません。」

と言いました。私がピョンと飛び降りるとスミレはちょっと苦しそうに筋立った葉を震わせました。私はそれを見てしまったので

「ありがとう。お元気で。」

と言ってスミレの葉をツルーッと降りました。

 罪の無いスミレを苦しめても何の利益にもならない。水分王様にお渡しする命の水は、悪を懲らしめて初めて作られる貴重な水。世の中スミレみたいなのばっかりだと平和なのにな。でもトーニャの様な悪者がいるからこそ、スミレみたいな方に出会う事が出来るんです。

 これを知って、私は水分王様にまた一つ級を頂く事が出来ました。級には一万以上段階があって、一番頑張っているメルメルは級を2985個頂いたそうです。それが確か15月頃テンヌに聞いた数だから、今はもう3000を越しているかもしれません。メルメルは本当に頭の良いヤツです。噂では水分王様が御隠れになったらメルメルが継ぐらしいのです。こんな事が水分王様のお耳に触れたら大変な事になるでしょうね。いくらメルメルの頭が良いからって、級は一万段階以上あるのですから。まだ5000にも満たないのにちやほやしてはいけないのです。…私ですか?私は級はあまり頂けない方なのでメルメルとは比べものになりません。それに、もったいない事に、あの憎きトーニャが私の級を127個もカジッてしまいました。またいつかトーニャを懲らしめなくてはならない日が来るでしょう。その時は、最近知り合ったネコのマラリーネに手伝ってもらうつもりです。マラリーネもトーニャには随分腹を立てている様ですし。

 あ、今日は119月98日でしたっけ?1時66分にペカチャの国のラミ女王様の器を洗う水になる仕事があるんです。ん、今日は97日でした。えっと…あぁ、ナドルおじさんの畑の農薬に混ざる10gの水の日だ。あと8分あるけど途中で何があるか分からないからそろそろ出発します。トーニャに会ったら大変だ。では…。


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