墓に巣食うリンダヴルム 中編
「くそ!師匠、助けてくれ!」
ヴァルターは生きていた。リンドヴルムが首を突き出す直前に構えていた槍の柄を両手で横に持ち、やってきた竜にその柄を咥えさせる事でどうにかリンドヴルムの餌食にならずに済んだ。間一髪だった。
しかし長くは持ちそうに無かった。リンドヴルムには力で押されそうになっており、槍の柄は硬い良い木材で出来ているとはいえ竜の歯がそれをかみ砕いてしまうのは時間の問題だった。ヴァルターが持ち堪えている間に風のひゅうひゅうと鳴る音が竜の後ろから聞こえた。
「Aer calens turbo sit et inimicum dilaniet!(熱をまとった空気よ、つむじ風となりて我が的を切り裂け!)」
ティッタが先ほど炎の魔法を使った事で墓地内の温度は上がっていた。条件が整った事でティッタは詠唱で人工的につむじ風を発生させて図体の大きいリンドヴルムめがけてかまいたちを放ったのだ。火で弱まった竜の皮膚には効果があり、かまいたちを受けた箇所が大きく切り裂かれ傷口から血があふれ出ていた。
ティッタの風の魔法攻撃を受けて怯んだ竜は一時的にヴァルターを押し込む力が弱くなった。そのスキを見逃さなかったヴァルターは腰に刺していた短剣を鞘から抜いて竜の右目目がけて突き刺した。竜が右目を潰された痛みに耐え切れず大きな唸り声を上げてとうとう槍の柄をかみ砕いてしまった。しかし竜の左側へと逃げられたヴァルターはかみ砕かれてしまった槍のまだ完全に残っていた穂をナイフ代わりに今度は竜の左目へと突き刺した。
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