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墓に巣食うリンダヴルム 前編

ヴルムドルフという名もいまだ付けられていなかった、かつて古代エルフの帝国が存在していた時代のこの地下施設はエルフの商人が小麦などの穀物を帝国本土に送る前に保存する貯蔵庫として機能していた。エルフの帝国が崩壊した後、ヴァルターの先祖のヴァルデマールが竜退治の後にここを訪れた時には既にもぬけの殻だった。ヴァルデマールはボイマルケンの最後の王の血を引いていた自覚がありプライドの高かった彼は時の大公から農奴の身分と騎士の地位を与えられながらここを歴代の王たちが眠る墓の様に使おうと決めた。そしてヴァルデマールが埋葬されて以降ヴァルターの祖父にあたるクラウスにいたるまでヴルムドルフの歴代の領主がこの広い空間に埋葬されていた。

階段を降りた後、弓矢を構えたヴァルターはティッタに松明を持たせて後ろに下がらせつつ彼女の明かりを元に地下墓地へと続く短いトンネルを警戒しながら二人ともゆっくりと進んでいった。ティッタが床を照らすと、殺された鹿のものと思われる血が墓地の方へと引きずられるように続いているのが見えた。彼女に照らされたままトンネルの向こう側まで辿り着くと目の前に石棺が左右にずらりと並んだ集団墓地がある。集団墓地の中へとゆっくりと足を踏み入れると、ふと肉が引きちぎれたり骨が砕けたりするような音が墓地の奥から聞こえて来た。二人が目を凝らして奥の方を見るとそこには首のない鹿の胴体を前の2本足で抑えながら肉を食いちぎって骨ごとぼりぼりと咀嚼していた翼の生えていない4本足の緑の皮膚の首の長い竜がいた。ヴァルターとティッタはその光景に息を飲んだ。


「リンドヴルムだ。前の竜退治に同行した時に見たのより小さい。」


「それでも骨ごと肉を食いちぎる程の強さじゃ。わしも加勢するが油断するでないぞ。」


ヴァルターが鹿を食っている竜を観察しているとふと竜の奥にある石棺が目に入った。墓参りに来るたびに領主を務めた先祖の石棺一つ一つにお礼と一族の繁栄を祈願した事があるが最も奥に一つあった石棺が始祖ヴァルデマールのものであると祖父のクラウスと父のヴォルフラムから何度も教えられた。探していた魔剣は石棺の外には置かれておらず恐らくヴァルデマールの棺の中にあるのだろうと考えた。

墓地の外から大きな音を立てて竜が外に出ていく間に棺の中の魔剣を取るという考えもあったがどちらか一人でそれをやるわけにはいかず、竜は嗅覚にも優れると言われている為囮役が隠れてもすぐに見つかるだろうとしてこの案は頭の中で却下した。

事実、リンドヴルムが突然食事を中断し頭を天井に向けて上げて鼻を嗅ぎ始めたのだ。ヴァルターは弓を構え背中の矢立てから矢を一本取り出した。


「あの調子だと見つかるのも時間の問題じゃな。」


「ティッタ、魔法で俺を援護してくれ。まずは飛び道具で傷を付けられるか確認する。」

お読みいただきありがとうございます。高評価やご感想などよろしくお願いします。

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