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処罰

「ヴァルター、ハインリヒ、ヘルムートとディートリッヒ。お前達四人は騎士として次の戦いで最前線で戦え!・・・そこで死力を尽くすのだ。」


戦場での軍規違反は最悪死罪も想定していたので身構えていたヴァルター達は訳が分からないという顔をしていた。ルートヴィヒも4人の面食らった顔を予想していた様でレギンリンダの椅子の左に立っていたテオデマー将軍の方をみた。


「テオデマー将軍、こやつらに詳細の説明を頼む。」


テオデマー将軍は頷いて咳払いをした後、4人の従騎士達に説明を始めた。


「お前たちも知っての通り此度の戦で我らは大敗した。実は槍兵や弓兵達は損傷が大した事が無いが軍の機動力を担う騎士達の多くが旗騎士のヴォルフラムも含めて魔族の軍との戦いで戦死した。軍馬も多くがやられてこのままではちゃんとした突撃も無理だろう。現在戦力再編の為に国中から騎士達を招集しているがまだ数が足りない。」


「そこでだ」と人差し指を立ててテオデマー将軍は話しを続ける。


「現在、従騎士の身分から仕えていた騎士達の後方支援として戦地に赴いたお前たちも最低限の経験があると判断し、お前たちも含めた従騎士100名近くを正式な騎士へと叙任する事にした。要するにお前たちもこれからは本当の戦力という事だ。」


つまり騎士の戦力が足りないから補う為にお前たちにも騎士として魔族との戦いの最前線に立ってもらうというのが大公ルートヴィヒとテオデマー将軍の考えという事だ。


「本来なら戦場で大公様の敷いた軍規に背いたお前たちは騎士身分のはく奪も極刑もありえたのだ。お前達を正式な騎士に任ずると決断した大公様のご慈悲に感謝するのだな。」


ヴァルターは複雑な気分だった。自分の勝手な行動で自分や仲間達が身分をはく奪されたり処刑される事が無くなったのは正直な所、ほっとした気分だった。半面不安もあった。自分たち4人は小姓の修行を終えて従騎士になってからまだ一年しか経っていないのだ。最低限の経験をもっていると言われたがヴァルター達にとって初めての殺しがヴォルフラムを拷問していたゴブリンを切り殺した時だった。そんな状態で自分達はまともに戦えるだろうか。しかも敵側の指揮官は恐らくあの黒の大将軍だろう。

あんな恐ろしい相手と相まみえる事になるかもしれないと思うとヴァルターは恐怖で身震いした。

考えているうちにふとある考えが浮かんだ。黒の大将軍にも戦いで勝てるかもしれない一族の伝説にまつわる剣で今まで先祖が話を盛ったと信じなかったが今はそれが無性に欲しかった。その剣が藁であろうとすがりたい気分だった。そしてヴァルターはルートヴィヒに思い切って言った。


「大公様、故郷の剣を取りに行きたいのです!叙任までにお暇をいただけませんか!」

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