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सरस्वती 僕と〇〇〇のターラ  作者: ARATA
散りぬべき 時知りてこそ 世の中の花も花なれ 人も人なれ
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第五十八話 インビジブルパラドックス




「あれ………!?何かが聞こえる………」


2人は同時に声を漏らした。2人とはいえ、様々な憶測が飛び交う。千城ちしのペットの鰐『ブシ』ではないことは、間違いないだろう。


「この声は、ガラシャ?」


「この声は、ゼロイチ?」


「ガラシャー!!」


ブワアアン。


何かに弾き飛ばされる。そこには、見えない壁があるようだった。透明な見えない壁が、2人の間にあった。見ることはできるのに、触れられない。

ゼロイチは、その見えない壁を何度も叩いたが、何の気配すらも感じさせず、ただただ、呆然とガラシャを見ることしかできなかった。


「ガラシャ!聞こえる?」







ガラシャ目線。



ゼロイチが宙を何度も叩いている。何をしているのだろうか。パントマイムのようだ。何か口パクで言っている。何も聞こえない。さっき聞こえたのは、ゼロイチの声だ。目の前にいるのもゼロイチに違いないだろう。とすると、先程の奇妙な行動にはどう説明をつければ、よいのだろうか。ガラシャは思い切って、声を出してみる。


「ゼロイチー!何してるの?」


「………」


返事はなかった。驚くほど静かなその空間に静寂の2文字が訪れた。

それもそのはず、双方の声は、双方に届かないのだ。この事態には、パラドックスという言葉が相応しいだろう。

ガラシャは思った。ゼロイチは、私の声に反応してくれていないのだと、もう忘れてしまったのだと、そう思っていた。1枚の壁から生み出される。個々人の心の壁。壁が壁を作り、ドミノ倒しのように崩れ、互いの精神をすり減らしていく。まあ、今回の場合。精神を削られたのは、ゼロイチの方だ。ガラシャが、うんともすんとも言わないからだ。勘違いから生まれる勘違いは、容赦なく、ゼロイチの心を蝕んでいった。

植物のツタや、ツルというものは、棒があれば、それに沿って先を伸ばしていき、成長するものだが、ゼロイチの心のツルが伸びてしまう前に、ポキッと棒が折れる音がした。

実に、呆気ない音だった。自分の努力はなんだったのか。ガラシャは、もう自分のことを忘れてしまったのかと、ありもしないことを考えては、傷ついた。

傷というものにな、治るのに時間がかかるものだ。心の傷はどうだろうか?場合によっては、一生治らないものもあるかもしれない。ゼロイチの心の傷のヒーリングの命運を握るのは、ガラシャの行動次第である。

「パラドックス」とは、正しく見える前提や論理から,納得しがたい結論に行きついてしまう問題のことです。 日本語では「逆説」や「背理」などと呼ばれます。 パラドックスについての研究は,古代ギリシャにまでさかのぼります。


次回までどうぞよしなに!

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