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सरस्वती 僕と〇〇〇のターラ  作者: ARATA
一と言って二とない
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第四十七話  もっともっと弁当




「あの………思い出すだけで、震えがするわ。大賢者、は………白兎神様の前で到底言えるわけもないけど………私は本気よ。今は、私を信用して!私もあなたを信じるから!お願いよ!聞いてるの?シャーロット。」


「ええ、もちろん。ちょっと、考え事をしていてね。わかったわ………

























「そうしてね。メテオーラは、歌手になったの。最初に作った曲が『ヴォルフガング』。ピアノの音が印象的で、音楽の世界に迷い込んだ気分になるわ。あなたもメテオーラに会ったら聞くといいわ。うふふ。」


密かに微笑むシャーロット。それを聞いて、もちろんゼロイチは曲に興味を持ったのだが、そんなことより頭の上の弁当だ。なんとかしてほしい。生あたたかいのだ。気持ち悪いったらありゃしない。


「シャーロットさん。僕の頭の上でお弁当を食べないでくださーい。お願いしまーす。」


なんとなく語尾を伸ばしてみるゼロイチ。まだまだゼロイチも12歳だ。たまには、おふざけもしたくなる年頃。とはいえ、語尾を伸ばすのが、彼のどういった思惑なのかは、予想もつかないが、ゼロイチの意に反して、到底、心の底からお願いしているようには、感じられない。


「あら、呑気な口調ね。嫌がってるようには見えないけど。」


「お願いします………」


今度は、先程とは異なり、大真面目に頼んだゼロイチ。


「わかったわ。丁度食べ終えたから良かったわ。


「さてと、今度はあなたの番ね。」


「え?僕の番?何が?」


そう言うと、シャーロットはゼロイチの箸を後ろから奪い取り、「あーん」というではないか。ゼロイチはパクッと一口で食べてしまった。味わいながら、そのお米を噛み締める。シャーロットの膝の上にゼロイチが座っている状態のため。この姿勢はどちらかといえば、二人羽織に近い。まあ、ゼロイチが二人羽織など知る由もないのだが………


「おいひいれす。おおいれすね。」


もぐもぐと咀嚼するゼロイチ。その通りだ。米は美味いのだ。噛めば噛むほどに味が出る。米の上にかかっていた。ふりかけのようなものも非常に美味であったことを、ゼロイチの表情が物語っている。


「じゃあ、私は人参を………食べようかしらね。」


「あ!僕の人参じゃないですか!」


口の中を埋めつくしていた米を食べ終えると、ゼロイチは横取りされそうになった人参に手を伸ばすが、シャーロットの方が少しばかり腕が長く、これまた届かない。あと1歩のところだった。まあ、足ではないのだが………


「しょうがない子ね。これ、あげるわよ。」


シャーロットは、齧った人参をくれた。見た目だけでは、齧ったものだとわからず、ゼロイチはその人参を食べてしまった。


「まあ。」


「え?なんですか?」


「なんでもないわ。


「それにしてもこの、『もっともっと弁当』美味しいわね。ゼロイチ君。」


「そうですね。シャーロットさん。」


2人は、風景を見ながら楽しそうに話していた。




もっともっと弁当とは、某弁当屋を模して作られた訳ではなく、この世界やゼロイチの世界に元から存在するものであり、私達が日常で見かける飲食店と劣らない実力を誇る。もっともっと弁当の看板メニューである。もっともっと弁当は、もっともっと食べたくなるという意味合いが込められており、この店のモットーである、『もっともっと幸せを、もっともっと笑顔を、もっともっと美味しさを』に適しているため、この名前が名付けられた。現時点でもっともっと弁当の所在地は不明であり、その店の人物らが登場するかどうかも未定である。


次回までどうぞよしなに!

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