第三十六話 風呂のヌシ
こんばんは。
ターラは風呂が好きです。
ゼロイチはあまり風呂が好きではありません。
では、本編へどうぞ!
ゼロイチは体を洗い終えると、風呂に入ろうと足を突っ込んだ。そこには、硬いごつごつとしか感触があった。これは、なんだろうか。岩を素足で踏んでいるような感覚である。大丈夫だよね?大丈夫だよね?と何度もターラに確認するが、ターラは、目を瞑っている。ゼロイチは自分が何を踏んでいるのか確かめたいのだが、この体勢では局部を隠しているタオルを一旦外さなければ、見ることができないのだ。一体どうしたものか。考えあぐねてみるが、何も思い浮かばない。タオルを外せれば、それで済む話なのだが。
一旦、冷静になってみるゼロイチ。ターラは目を瞑っているのだ。外してしまってもまた、自分が同じ思いをすることはないはずだ。思い切って、隠しているタオルを外そうとすると、ターラが目を開けたのだ。
「うおお。危ないや。」
「どうした金。何してる金。」
「いや、お風呂入ろうと思ってさ、というかさ、僕の足のしたなんかいない?」
おどおどとした声で、ターラに尋ねてみる。タオルで隠せていないかと確認するゼロイチ。すると、どこからともなくいびきが聞こえてくる。
「え、もしかして………」
ターラは、寝てしまった。起きてくれないかと心で祈るゼロイチだったが、その願い届かず・・・
「え、どうしよ。」
ゼロイチが、踏んでいる岩はちょっとずつ動き始める。
「え!え!えええ!なにこれ。なにこれ!なにこれ!!」
「静かにしてほしい金。」
その声でターラが目覚める。ターラは満足したようで、風呂からでると、ゼロイチの影に隠れてしまった。
「あ、ちょっと待った!」
その声は届かない・・・だが、ゼロイチはようやくタオルを外すことができた。おそるおそる足元を確認してみる。
「わっっっ!」
ゼロイチの足の下に小さなワニがいるではないか。
「わああああ!」
ゼロイチはたまげて、急いで風呂場から出ていく。あまりに急いでいたため、その場で転倒した。
「いてて。」
頭を摩りながら、片方の手にタオルを握りしめていた。
「なにしとるし。」
「うわあ、ちしちゃん。」
ゼロイチは急いで、局部を隠す。
「なにも見てないし。ちし。」
たまたま廊下で出くわした千城チシは、なぜか笑っている。
「ちしちゃん聞いてよ!さっき風呂場にワニがいたんだよ!この家どうなってるの!」
「あ、わたしのブシ。探してたし。」
千城チシに頭を撫でられるゼロイチ。
次回までどうぞよしなに!




