第三十五話 自分は自分、人は人
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ゼロイチがガラシャの家に帰ってくると、千城チシが起きて待っていてくれていた。
「ただいまー」
「おかえりでし。遅かったし」
「うん。ジンゴールさんとご飯食べてたんだ。」
何気なく言葉を発する。発することで安堵を覚える。今ここに自分が存在しているという安寧がここにはある。
「お風呂入れるし」
「あ、ああ!ありがとう!すっかり忘れたよ。お風呂入らなきゃ。大変だったでしょ。」
「慣れてるし」
「そっか。ならよかった。あ、そういえば、ちしちゃん。僕、天林山に行きたいんだけど、天林山ってどこにあるの?」
「ちかっ、近いし」
「そうなんだ。明日大学終わったら行こうかな。」
「明日休みだし。明日の予定はそれだけだし。ゼロイチポケットになんか入ってるし。」
「え、なんだろう。」
さりげなく、ズボンの後ろのポケットをまさぐる。紙らしきものが、ポケットからはみ出ていた。これは、なんだろうか。
それを手に取り、腕を体の前へと持ってくる。
「え!これ………」
「封筒だし。1人の時に見るだし。」
「あ、ありがとね。」
ゼロイチを、気遣ってくれているようだ。
ゼロイチは、風呂場へ行くと、服を脱ぎ、心根の眼鏡を脱ぎ終えた服の上に置こうとすると………
「何してる金。」
「わっ!ターラ!なんだよお、いきなり。」
「お風呂入りたい金。」
「わかったよ。にしてもターラって不思議だよね。その服を着たまま入るんだからさ。脱けばいいのに。」
「ふーん。」
「なにさ。ふーん。って、拗ねてるの?」
「ちがうかね。」
「へえ。ターラにも子供っぽいところあるんだね。」
「自分は自分。人は人金。」
「なるほどねえ。」
ゼロイチは、ターラと風呂に入るとき、いつも下を隠すのだが、たまたまこの瞬間隠すのを忘れていたようで、顔から火が出そうだった。
「あ、あああ!見ないでええぇぇ。」
「興味ない金。」
「うう。」
ターラが勢いよく、風呂に飛び込む。
「あ!ちょっと待ってよ!体洗ってないよ。」
「汚れてない金。」
「もう、これじゃどっちが子供かわからないよ。」
小声で呟くゼロイチ。風呂に入ったターラは、微動だにしないので、ゼロイチは風呂に入れない。正確には、入れるのだが、狭いのだ。だが、贅沢は言ってられない。この時間に体を洗うのだ。ゼロイチは、1人虚しく体を洗った。
次回までどうぞよしなに!




