第二十九話 パトス
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では、本編へどうぞ!
ここ、N大学の勝カリーは人気メニューであり、その名前が縁起がいいことからも、就活生に人気である。ゼロイチもガラシャも共に、1年生ではあるが、見ているだけでもいいことがありそうだ。
カレーからは、その美味しそうな香りが漂ってくる。ゼロイチが見た目を楽しんでいると、ガラシャが一口スプーンですくった。細い腕で、着物が汚れないように工夫しながら、器用にすくっていた。2回ほど、フーフーとカレーに息をかけると、自分の口へと運んでいく。ゼロイチが眺めていると、あることに気づいた。自分のスプーンがないのだ。ゼロイチももちろん食べたいので、持ってこようとすると、ガラシャが立ち上がろうとするゼロイチの肩を左手で抑えた。何かと思えば、スプーンが向かってくるではないか。ゼロイチは思った。ガラシャのことだから、食べさせる振りをして、最後は自分の口に運んで、食べてしまうだろう。と、思っていた。
「その手には乗らな………」
口の中が熱くなった。舌に金属のひやりとした感覚が伝わってくる。上顎には、カレーとご飯とサクサクのカツが当たった。予想外だった。ゼロイチは、食事の介助をされたのだ。俗に言う『あーん』である。
このときは、美味しいという感情よりも嬉しいという感情が勝っていた。だが、ゼロイチはガラシャは単に自分を可愛く見せたいという心情にあることを知らなかった。第三者からの視点で見れば、カップルも同然だが、ゼロイチからはガラシャの心情はわからないのだ。
ガラシャは、その美しく綺麗な青い瞳で、ゼロイチを見つめていた。
ゼロイチは、そのカツカレーをゆっくりと堪能した。食べ終えると、美味しいよ。と、一言ガラシャに伝えた。
「美味しくなきゃ困っちゃう!」
予想外の発言に顔を赤らめるゼロイチ。ゼロイチが、もっと食べたいというと、ガラシャは、スプーンで、再度カレーをすくう。
「はい。あーん。」
ゼロイチが、大きく口を開くとパクッとガラシャが食べてしまった。
「えぇ、あーんって言ったじゃん。」
「ん。」
ガラシャが、カツを咥えている。何を考えているのだろうか?
「え、なにさ。」
「はへてひいよ。」
食べていいよ。と、言っているのだろうか。ゼロイチには、そう聞こえた。ゼロイチが、言われた通りに顔を近づけると、ガラシャの瞳が潤っているのがわかった。
ゼロイチが、咥えるとガラシャの唇が近づいてくるのがわかった。あと僅かで、唇と唇が触れそうだった。
「んもう。恥ずかしい!」
「へ?」
ゼロイチは、カツの感触を味わった。
パトストとは、欲情・怒り・恐怖・喜び・憎しみ・哀しみなどの快楽や苦痛を伴う一時的な感情状態。
次回までどうぞよしなに!




