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सरस्वती 僕と〇〇〇のターラ  作者: ARATA
一と言って二とない
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第二十八話 幸運の女神には前髪しかない




「今日の講義なんだっけ?ゼロイチ。」


「僕はまだ、来たばっかりなんだ。知らないよ。それより、今日の昼ごはんどうしよう。お金ないんだよね。」


「ふふん。学食食べていきなよ!安いよ!」


「でもお金が………」


 今は確か、三百円のはず、そう考えていた。ゼロイチ。尹伝(いんでん)製の財布を取り出す。中身を確認する。記憶が正しければ、百円玉が三枚のはずだ。1,2,3,4・・・?

 一枚増えている。数え間違えたのだろうか。それにしてもおかしい。もう一度数えてみる。1、2、3、4・・・?


「増えてる?どういうこと?」


「どうしたの?ゼロイチ!んふ。」


「いや、なんでもない。」


「なんか隠してるでしょ!」


「何でもないってば。学食っていくらなの?」


「300~500円だよ!」


「わかった。」


 教授がやってきたので。話を止める。小難しい話だった。お腹が空いた。今日は、何を食べようか。これが終わってもアルバイトをしなければならない。そう考えていた。手持ちが400円では、何も買えない。食べれないからだ。ゼロイチは、お金というものの重みを知った。一円。十円。五十円。百円。五百円。千円。二千円。一万円。高額になればなるほど軽くなっていく。お金というのは。不思議なものだ。

 ゼロイチはふと思い出した。心根の眼鏡は、顔だけでなく対象の人物の金額を見ることができるのだ。これが、弁財天のものだと知り、驚いたがふと隣にいたガラシャを見てみる。300万円と表記されていた。


「えっっっ!」


「今は講義中ですよ。そこの赤いニットの子。静かにしてね。」


 ここでも笑いものにされるのか。小学校でも笑われ、大学でも笑われる。自分はツイていないのだろうか。世の中には運というものがある。しかし、その大半が思い込みであり幸福は平等に訪れることをゼロイチは知らなかった。

 丁度、講義が終わったようだ。ガラシャに手を引っ張られ、食堂へと連れていかれる。現在の所持金は400円だ。ゼロイチが買えるのは、300円~400円の食事。

 なにやら、食堂の壁に張り紙があった。何かと思えば、本日のランチらしい。そこにはこう書かれていた。


『スペシャルメニュウ (カツ)カリー  500円』


 ゼロイチは、今日の昼は断食することを心に決める。1人、椅子に座り、ガラシャを待つことにした。


「ゼロイチ!」


 ガラシャに、呼ばれている。何だろうか。


「なにさ。」


「量多いから、一緒に食べよ!」


「ありがとう。」


 ゼロイチは涙を堪える。幸運の女神は、すぐそばにいた。



「幸運の女神は前髪しかない」は、古代ギリシャから伝わるヨーロッパのことわざで、「チャンスは訪れたその時に掴まなければならない」という意味です。



次回までどうぞよしなに!

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