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सरस्वती 僕と〇〇〇のターラ  作者: ARATA
一と言って二とない
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第二十六話 竹刀を握る

実は、剣道で用いる竹刀は、日本刀よりも長く、軽く、コントロールもしやすいです。



では、本編へどうぞ!




「いいか。ゼロイチ。運動をすることにより、脳からBDNFが分泌される。このBDNFは、脳由来神経栄養因子と呼ばれるタンパク質だ。神経細胞の発生、成長、維持、再生を促進する働きがあり、記憶中枢である脳の海馬に多く発現している。

 BDNFは、神経細胞の活性にとって重要だ。BDNFが増えると、シナプスの形成が促され、記憶力や認知機能も向上する。また、脳内のBDNFを増やすことで学習能力が向上して、学業成績や仕事の能率アップにつながる。で、気分はどうなんだ?ゼロイチ。」


「なんか、スッキリするね。イイ感じだよ。」


 片手で竹刀を握りしめ、ゼロイチは最後の一部分しか聞き取れなかった。源二郎の話など、無論どうでもよかった。この高揚感を高鳴る鼓動を噛み締めていた。全身から噴き出る汗。上下に動く肩。これが、運動なのかと、再認識する。

 そして、新な自己解釈として、運動とは心地よいもに変わっていた。今まではといえば、億劫なものと解釈していたため、このように実際に体験してみることで。こうも違うのかと思い知らされた瞬間でもあった。よく、百聞は一見に如かずとはいうものの。百聞は一感に如かず。と、視覚ではなく、触角もしくは感覚として感じてみるほうが手っ取り早いのかもしれない。


「楽しいね。試合がしてみたいよ。」


「ほほう。いい面をしておる。わしとやるか!」


「はい。」


 二人とも、準備は万全だった。構えて、相手との距離を測りながら、横へ横へと摺り足で、足を滑らせていく、ゼロイチは源二郎から目を離さなかった。目を離せば、やられる。そう思っていたのだ。

 一方源二郎はといえば、一瞬の隙がなく、まるで相手を狩るかのような目つきで、ゼロイチを睨みつけている。練習とはいえ必死なのだろう。負ければ、ゼロイチに教える意味がないのだ。ここは、譲れなかった。

 一瞬の隙をつき、源二郎が、小手を一本取った。ゼロイチは手も足も出なかった。気迫が凄いのだ。まるで、一匹の虎を相手にしているのではないかと錯覚するほどに、雲泥の実力の差がそこにはあった。


「しまいじゃ。鉄之助によろしくと伝えといてくれ。」


「あ、うん。」


 ゼロイチは不思議に思っていた。女性にも関わず、微弱ながらも、畏敬の念を抱かさせられたからだ。この世界には、様々な人間がいる。


「ゼロイチ!」


 源二郎が突然大きな声を出した。咄嗟に振り替えるゼロイチ。


「え、なに?」


「名を惜しめ。」


 それだけだった。ゼロイチは、なぜかはわからないが、その一言に強い意志を感じた。まるで、太古から伝えられてきたような、その言葉の重みにゼロイチは感銘を受けた。


「ありがとう源二郎さん。」


 口角を上げて、振り返りながらゼロイチは微笑んだ。

次回までどうぞよしなに!

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