第十七話 丹青の邂逅
丹青・・・丹は赤色を表し、青は、そのまま。どちらも何者かを暗示している。
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「今忙しいので、後にしてくれませんか?」
声は明らかに女性の声だったが、喋り方が男である。ゼロイチは足元しか見ていなかったので、赤い紐の草履しか見えていなかった。その人物が誰であるかも知る由もなく、通り過ぎてしまった。
誰だったのだろうか??
「ゼロイチなにしてる金。」
「いやさ、お金全部使っちゃったんだよね。嬉しいけど悲しくもあるっていうかさ。」
ゼロイチは不思議な心境でいた。ゼロから、イチになり、そのイチを使い果たし、また、ゼロとなったのだ。一見すれば、高価だが、質のいい財布を手に入れているのだが、この時の、ゼロイチの視点は狭かった。現金を封筒で持ち歩くよりは、断然いいのだ。
「口と財布は締めるが得金。」
「どういうことだい?」
「世渡りのためには、自身の経済状況と本心は明かさないほうが良い金。」
「どうしてだい?雄弁は銀って言うじゃないか。」
「なるほど………ならば、沈黙は金金。」
「へぇ、そうなんだね。あ、また誰か来たよターラ。」
「隠れる金。」
「おい、お主何者だ。」
「レイイチって言います。みんなからはゼロイチって呼ばれますけど………」
「ならゼロイチ。鉄之助は見ておらんか?」
ゼロイチは両の手を上げて、さあと答える。
「礼として褒美をやろう。わしは源二郎だ。覚えておくがよい。」
「あ、どうも。」
ゼロイチは六白円を手に入れた!
源二郎は、去っていった。源二郎は、頭から鹿の角が生えており、赤い鎧を纏っていた。ゼロイチは、そういえばさっき、尹伝で、赤い財布を見た。ひょっと、すると、尹伝制なのではと考えたが、この世界にまだ、それほど詳しくはない。繋げてしまうのは億劫だと思い、それ以上は何も言わなかった。
しばらく、歩いていると、コンビニを見かけた。緑と白と青の看板である。大きく『Family Meter』と書いてある。
「ファミリーメートル!?こっちにもあるんだ。」
ゼロイチは小学生だが、それなりの知見はある。何が売っているのか知ろうと思い、入ってみた。先程のターラの言葉は忘れてしまったのだろうか??
「いらっしゃいませー。」
ん?この声は?
声の聞こえたカウンターを見ると………
次回までどうぞよしなに!




