第十六話 勇七
やっぱり、欲しくなりますよねぇ。おっと、失礼。
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杖の先端のランプが光ったかと思えば、だじょちゃんが、ふわりと浮かんだのだ。ゼロイチは、目線を逸らす。だじょちゃんの下着が見えそうだったからだ。
「ハレンチだよ。」
「おっと、失礼しましただじょ。」
「うーん。浮いてもなあ・・・」
「どうかしましたかだじょ?」
「僕さ、財布が欲しいんだ。お金が増える財布とかないの?」
「そういうことでしたら、近くにある尹伝屋がおすすめだじょ。」
「ありがとう。」
ゼロイチは尹伝屋という店を目指した。ここから、そう遠くにはないらしい。
歩いていると、ターラがひょっこりと出てきた。
「何してる金。」
「ターラ!見てよ!初給料貰ったんだ!」
「おめでとう金。お金に愛されるといい金。」
「うん。ありがとう。そういえばさ、ターラはなんでいつも隠れてるの?」
「・・・」
「どうしたの?」
「着いた金。私は隠れる金。」
「ここが・・・」
ゼロイチは、現代的な建物の中に入った。
「こんにちはー。」
「よぉよぉ!なににする?私はイサナだ!よろしくな兄ちゃん!」
勇七は、胸の強調されたトップスと帽子をかぶっており、どちらも茶色だ。お手製だろうか?髪は水色に近い青で、下に履いているホットパンツとの相性がいい。寒いのかわからないが、黒に近い色のスパッツに、これまた、茶色のヒールを履いている。
ゼロイチは、勇七の赤らんだ頬を見ていた。
「んー、じゃあ財布で。」
「いいよぉ。革細工なら誰にも負けねえよぉ!」
勇七は、店の奥から財布を取り出してきた。
「知ってるか。兄ちゃん。うちの尹伝の革工芸は、元々、武将たちの鎧や兜のためだったんだ。その歴史なんと、400年。それに尹伝にはただすことを伝えるって意味があるんだよぉ。さあ、どっちにするよぉ兄ちゃん。」
ゼロイチの前に置かれた財布は赤と青。ゼロイチは五分ほど悩んだが、悩んだ挙句、青い財布を選んだ。
「青にするよ。いくら?イサナさん。」
「一万よぉ。」
「はい。お願いします。」
ゼロイチが、一万円差し出すと、勇七が受け取る。
「毎度ありよぉ!」
ゼロイチは、財布を買ったが中は空である。
「また、ゼロイチじゃん!!」
「じゃあな!ゼロイチの兄ちゃん!」
店を後にしたゼロイチ。家へと向かっていると、何者かが行方を塞いだ。
「お主。何者でござるか!」
次回までどうぞよしなに!




