第一話 始まりの屋敷
始めに、十五分に一度の休憩を推奨します。
人間が、集中できると言われている時間は、15,45,90分と言われており、この時間は学校の授業や、スポーツの試合、映画などにも取り入れられています。
まあ、早く読める方に関しましては、関係のない話でございますが、試しに三十秒だけでも目を瞑ってみてください。スッキリとした感覚を覚えるはずです。
これで、準備は整いましたね。
では、本編をどうぞ!
ある日のことだった。丑三つ時。僕という男の子は、とある屋敷にいた。古びた屋敷だった。何の変哲もない屋敷だ。
眠れずにいたので、先程召使から教えてもらった数を数えるを実践していた僕。
「いち」
「に」
「さあああん」
「さ、え?うわあああ!」
僕は、泣き出した。背後から声が聞こえたのだ。聞いたこともない声だ。だけれど、どこか人に似ていると、僕は思った。この声の主は………
考えてもわからない。なぜなら聞いた事のない声だからだ。僕は、ひたすらに怯えた。体の全身が震えていた。僕が腕を見ると、鳥肌になっている。体も大音量で、これは恐怖だと訴えている。
怯えながらも、ゆっくりとゆっくりと後ろを見た。
「そこには誰もいない。」
「うわあああ!」
誰だろう。僕が考えていると、テレビがついていた。偶然なのか。心霊番組だ。こんな暗闇のなかで、テレビなどつけていただろうか。
テレビはよくある心霊番組で、恐怖を仄めかすような写真が次々に、不気味なナレーションと共に、画面いっぱいに出てくるではないか。
「こんなのみたくないよ」
僕は、チャンネルを変えた。
「あれ?おかしいな。」
どの番号を押しても、テレビの画面は所謂砂嵐の画面ばかりで、押したくはなかったが、心霊番組のチャンネルに切り替えると、まともにテレビを見ることができた。
その、異常さがさらに恐怖を誘った。
「なんで?なんで?なんで?」
「ニョキ。」
「わああああああ!」
テレビから顔が生えてきた。異様な光景だ。女性の顔だろうか。髪が前方向に垂れている。かの有名なホラー映画を彷彿とさせる。
「教えてやろう金?」
「しゃべった!」
「怖くないの金?」
女性と思われる顔は奇妙な語尾をつけながら、僕に質問を続ける。
「こわくないよかね!」
女性は、誰が見ても美人と思われる顔をしており、僕もそれ故か、親しみを抱いていた。
「勇気あるあなたに私の世界へ招待する金。」
女性は、テレビから透き通った白い肌の腕をまるで、水面から宙に上げるように出した。何をするのかと思えば、そのまま僕を引きずり込んだ。
「うわああああ!まって!」
「なに金?」
「トイレいくからまって!」
僕は、必死で嘘をついた。見え見えの嘘だった。
「こっちでいけばいい金。」
「た」
「す」
「け」
「t・・・」
屋敷の中が急に静かになった。召使が不思議に思ったのか、先程僕のいた部屋へとやってきた。
「坊ちゃまああああ!どこですかあああ!」
返事はない。僕は、テレビの中へ引きずり込まれてしまったのだ。しわがれた声だけが、部屋に響き反響した。召使の老婆は、しくしくと泣き、おそらく、僕の物であろう、片方の靴下を強く抱きしめ、床の畳をグッショリと濡らした。
次回までどうぞよしなに!