↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
88/225

6-5 散歩しながら市場調査?

 中心地。お店が沢山有りますね。看板に絵が描かれているので文字が読めない人でも分かり易い。彼方此方と視線が定まらずに動き回る私に、ヘルムが苦笑しています。面白いですか?


「お嬢様」


「うん?」


 私がずうっと視線を定めず彷徨わせていると、私を抱っこしているヘルムが少しトーンを抑えて呼びかけてきました。真面目な話をするよって事でしょうか。


「全く尋ねて来ないので説明した方がいいのか迷っていたのですが」


「うん」


「何故、オズバルド様のことを尋ねないのですか」


 ヘルムの真面目くさった表情に何を言われるのだろうと身構えていた私は、その名前を聞いて目を瞬かせました。

 オズバルド様。

 そういえば、何故か一緒に暮らしてましたね。

 でも毎日顔を合わせているわけではないし、会話もあまり無いし。話さないわけじゃないというより、私が話しかけると応えてくれますけど、ラリーが続かないというか。そんな感じの関係で。

 しかも一昨日辺りからお姿を見ていなかったので、すっかりその存在を忘れてました。


「そういえば」


「そういえばって、お嬢様まさかオズバルド様の存在を忘れてた……なんて言いません、よね?」


 私が思い出した、という口調になったらヘルムが顔を引き攣らせました。ええと、その通りです。忘れてました。私はエヘヘヘヘと笑って誤魔化しましたがヘルムにはバレバレだったようで。


「嘘だろ、お嬢様! それはオズバルド様が流石に可哀想」


 ヘルムが私を残念な子を見るような目で見つつオズバルド様に同情します。が。


「そうは言いますけどね、オズバルド様との会話があまり続かないって知っているでしょう? しかも私から話しかけないとオズバルド様は挨拶だけで終わるし。毎日顔を合わせているわけでもなければ、そういえば一昨日辺りからお顔を見ないなぁって何となく思い出しただけですし」


 ヘルムの責めるような口調に唇を尖らせて抗議します。そういえばこういう態度も口調も初めてのこと、です。

 ヘルムも私の抗議には「まぁ確かにそうなんですけど」 と同意してます。ホラ、私は悪くないですよ、多分。

 尚、ヒルデは屋敷で他の使用人達とお留守番で此処ぞとばかりに、掃除を頑張ってくれるそうです。普段は使用している部屋のみでいいよって言っているので使用してない部屋は空気の入れ替えくらいだけなので、掃除をするそうです。そんなに頑張ってもらわなくてもいいんですけどって言ったら埃は出ますからねって言われ、それはそう、と納得してしまったのでお任せしました。

 護衛さん達も屋敷でお留守番です。皆で休憩も挟んで下さいね、と声をかけておきました。

 で。

 オズバルド様のことでしたっけ。


「オズバルド様、お嬢様の婚約者だからって一緒に暮らしているのに」


「いや、婚約者だからって意味が分からない。結婚したのなら一緒に暮らすのも分かるけど、結婚前から暮らすって事情が無い限りはしないんでしょ?」


「その事情があるから暮らしているんじゃないですか。お嬢様、元貴族の平民って面倒な存在って分かってます? オズバルド様は成人していませんけど、髪色こそお嬢様みたいに鬘で隠してますけど、あの顔立ちだから見る人が見ればロイスデン公爵様の息子って分かるんですよ? だからお嬢様が狙われないんじゃないですか」


 ヘルムの話は一理ある。

 要するにロイスデン公爵家の後ろ盾がある平民って立ち位置なのだろう。


「でも。だからこそ私が狙われる可能性もあるんじゃないの?」


 そう。ロイスデン公爵家の後ろ盾を持つ平民なんて見る人が見たら手駒に欲しい存在だと思うんです。


「だから、オズバルド様が一緒に暮らしているんです。盾になるために」


 ヘルムの説明には流石に思いもよらない事だったので驚きました。……そういう意図があったのか!

 何も説明してくれないので全く意図を理解出来なかった。


「そっか。そういう意図があったんだ……」


「それなのにお嬢様ってば、オズバルド様の存在をすっかり忘れているとは……」


「だって毎日顔を合わせているわけじゃないし、会話も続かないし、オズバルド様がいなくても困ってなかったし」


 そんな意図があるとは知らなかったので後ろめたい気持ちは有りますが、でもなぁ……という気持ちもあるわけです。


「まぁそれは、お嬢様に一度、やらかしたでしょう?」


「あー。無理やりではないけど、食事を残すなってあれ?」


「そうです。あれでオズバルド様は結構堪えたので一応気を遣っているんですよ」


 つまり失言しないように、口数を減らしているってこと? いやぁ、それも分からなかったなぁ。でも、そっか。オズバルド様は気にしていたのか。それは悪いことをした。


「それは悪い事をしてますね……。で、オズバルド様はどうしたんですか?」


 改めて尋ねてみました。


「公爵様から呼び出されて一昨日からロイスデン家に帰ってます。今日辺り此方に帰って来る予定ですよ」


 ヘルムが漸く説明出来たって晴れ晴れとした顔をしたので、それも申し訳ないことをしたなぁって反省しました。あと、オズバルド様は今日辺り帰って来るんですね、了解。

 それじゃ、改めて侯爵領の探検です。

 ……ヘルムとオズバルド様の話をしながらずうっと看板に目を向けてキョロキョロしていたのですが。気になったお店がいくつかあるんですよね。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。