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6-3 散歩しながら市場調査?

 取り敢えず、オズバルド様は何故か私が行かないなら行かない、と決断したようです。うーん……オズバルド様のことが掴めないなぁ。抑々私が行っても行かなくてもオズバルド様とは年齢が三歳違いなので、一緒に通うことなんてないのに。入学の年齢は大体十三歳前後からで、何歳まででも入試に受かれば入学出来ますが、卒業する年齢は決まってます。成人年齢まで。だからオズバルド様がこれから通っても長くて四年ですからね。もし私が通うと決めても一年程同じ学園に在籍してるってだけになるわけなんですけどね。

 まぁ、私が口出しすることではないので、これ以上、この話題に言及はしない、という事で。

 でも、そうなると。

 オズバルド様はいつまで私と一緒に居るつもりなんでしょうかね。平民と一つ屋根の下で生活してるって公爵子息としてどうなんでしょう。

 さておき。


「お嬢様」


 ヘルムに呼ばれたので其方に意識を向ければ、鬘を持ってました。……鬘。あれですかね。伯爵家を出た時に、公爵様の使用人の方が言ってた髪の色を変えるって話ですかね。アレ? 染める方だと思っていたんですけど、まさかの鬘です。まぁ髪色が変わるならなんでもいいか。実父からは嫌われた外見ですが、どう見ても実父そっくりな私なので目は仕方ないにしても髪色を変えないと見る人が見たら正体に気づくそうです。……面倒は避けましょう。

 そんなわけで茶色の鬘を被りました。おや? 日本人だった記憶があるせいか、違和感はないです。


「お嬢様、お似合いです」


 アズが速攻で褒めてくれました。


「お嬢様可愛いですねー」


 軽薄な褒め言葉は嬉しくないですよ、ヘルム。

 そして何故か無言でわしゃわしゃと頭を撫でてくるオズバルド様。ええと、鬘がズレます。アレですか。私、もしかしてオズバルド様から見てペット枠ですか。


「それなら外に出ても大丈夫そうですわ」


 ヒルデが言ってくれたのでヘルムを期待を込めて見つめれば苦笑しつつも頷いてくれました。おお、どうやら外出オッケーのようです。お庭の散歩だと思っていたのですが、屋敷の外に出られるなんて……夢のようです。何しろ、屋敷の外に出たのは、今まではロイズデン公爵家を訪れた時だけなので。

 ちなみにお散歩とはいえ、私に合わせて歩くことにはならないそうです。


「お嬢様、まだまだ痩せてますし。体力は回復されてきていますけど、外歩きは倒れそうですからねー」


「じゃあどうして?」


 庭や屋敷の敷地内ではなく外に出してくれるの?

 ヘルムの言葉に首を傾げた。

 ヘルムの方こそ不思議そうに目を瞬かせて。


「だってお嬢様、お仕事がしたいと言ってたじゃないですか」


 その返事にアズを見ればコクリと頷くのが目に入る。

 つまり、二人は私の話を子どもの戯言、と捉えないで受け止めてくれた、ということ。

 そして外を見る機会を作ってくれて、何をしたいのか考える機会を与えてくれた。


「ありがとう、アズ、ヘルム」


「どういたしまして」


 でも歩かせる程の体力は無いので、俺に抱っこされて下さいね。と笑うヘルムを見て、茶色は平民に多い髪色だったことを思い出した。ヘルムに抱っこされてお散歩するなら、兄妹に見てもらえそう。流石に親子はヘルムが可哀想だしね。

 取り敢えず、本日は屋敷の外を出て周辺を散歩してみるだけ、という事に落ち着きました。私が疲れないか確認しつつ外に出ていられる範囲を増やすそうです。何から何まで配慮してくれて、有難い限りです。

 四十五歳の記憶では、近場でも“いつも”と違うことをすると疲れた身体になっていたことを思い出しました。まぁこれはあくまでも私の体感の話で、同じ年齢の人でも一日中歩き回っても疲れない人だっているだろうし、遠い場所でもフットワークが軽い人は全然疲れないかもしれないですけど。

 私は“いつも”と違う行動を取ると帰宅するなり、グデッと疲れきって横になってた記憶があります。そういう人だっているよね。

 ネスティーに生まれ変わってもその辺は変わらない気がするので、私が疲れないか確認しつつ行動範囲を広げてくれるなんて至れり尽くせりだと思います。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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