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13-7 辿々しい二人の道

 学園についての理解を深めたところで、最初の目的通り住む場所を決めるために見て回りましょう。先ずはお店の雰囲気やらその周辺やらです。

 前世の記憶を思い出した私、実家から一人暮らしをする際に物件を見て回ったことも蘇りました。家賃がいくらなのか。家賃と光熱費込みでいくらなのか。部屋数は1でいいけれど広さとかキッチンの様子やトイレと風呂の様子、オートロックなのかチェーンは付けられるのかなどなど。その他、駅からどれだけ歩くのか、昼間と夜の人通りや街灯の明るさなどもチェックしました。駅から部屋までコンビニがあるのか治安はどうなのか。そういったチェック項目を一人暮らしをしている人から情報をもらって作成した思い出が蘇りました。

 ……こちらだと平民用は鍵付きのドアではないですよね。南京錠でも取り付けますかね。防犯対策として。街灯はあるんですが電気が通っているわけじゃないのでランプです。定期的にランプ用の油が補充されていることはオズ様が教えて下さいました。

 トイレと風呂は日本の水洗トイレと所謂湯船に浸かると表現出来る浴槽ですから問題は無いですが、平民向けの家って完備されてるんですかね? キッチンは……ガスコンロでしたっけ? アズと確認しましょう。

 後、周囲の家に子どもがどんな様子で居るのか、大人はどんな雰囲気で生活しているのか、それを確認するのも必要ですよね。例えば子どもが明るい笑顔でなかったのなら、大人が荒んだ生活をしていたのなら、それは治安が悪いのか、不安な要素があるのかという事です。

 ある一軒はお金がない、というのはその家のご事情ですがそれが何軒も、というと別の事情があるという事になるわけです。尤もここはロイスデン公爵領ですから、この東エリアを含めた領地内全ての領民達は安心して暮らしている事でしょう。

 見なくてもわかります。

 何故ならどこの公爵領でも栄えているので。それが社交場に出たことの無い私でさえ、アズからの話で聞くだけなのに公爵領はどこも豊かだと聞き及んでますから。とはいえ、栄えているからといって人が幸せなのか、というとそれは違うことも分かっています。だから、雰囲気を知ることは大切です。

 のんびりとした雰囲気。活気溢れる雰囲気。様々だとは思いますが、民の顔が明るければ問題ないわけですから。


「ネスティー、鍵がどうかしたか」


 色々考えていた私は、オズ様に声をかけられてハッとします。ジッといつの間にやらオズ様だけでなくアズもお兄様も私を見つめていました。


「あの、すみません? 心配かけました?」


 心配そうな表情で見られていたので首を傾げつつ疑問系で謝りました。……何がそんなに心配なのでしょうか。


「ネス、ずっと考え込んでいたと思ったら鍵がどうとかブツブツ言っていたけれど、どうかしたのか」


 お兄様が説明して下さり、心配そうな表情の意味を悟りました。そういうことか。


「いえ、防犯上について考えていただけです。一人で暮らすわけじゃないにしても、鍵をドアに付けて施錠する習慣をつける必要があるな、と。護衛を雇うわけにはいかないわけですし」


「お嬢様、大変素晴らしいお考えですが、それですと、ロイスデン公爵様を信じていないことと同じでございます」


 アズの指摘にへ? と首を傾げた。


「要するに、鍵を付けなくてはならない程に治安が悪いと仰っておいでで」


 アズがちょっと気不味そうに付け足す。あー、そういう……確かに、これはそう思われても仕方ないことだ!


「ああいえ、違うの。その、宰相様の領地で護衛さんがいたでしょう? だから平民の方は護衛は雇わないだろうから、そうすると護衛の代わりは鍵なのかしらって思ったのよ」


 慌ててロイスデン公爵家に何か思う所があるわけじゃない、と否定した。


「そういうことか。それなら心配しなくていい。どこのエリアでもロイスデン公爵家の護衛が交代で見守りをしているから治安に問題は無いよ」


 オズ様がニコッと笑う。……うん。鍵を付ける案は却下しておこう。オズ様を信じてないことになってしまいそうだもの。

 あと風呂やトイレやキッチン等については、新しく家を建てるからネスティーの好きにするといいよ、と言われてしまったので物件確認は無くなりました。

 取り敢えず……店の雰囲気やら民の雰囲気やらを確認して、今日は終わりにしましょう。

 ……そんなわけで本日は東エリアのお店の雰囲気を確認。レストラン店内でランチを済ませ、東エリア内の宿に泊まって翌日は民達の様子を確認して、東エリアの雰囲気を見ることは終わりにしました。

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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