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7-11 「公爵家」の偉大さとその影

「全くネスティーは……」


 思ったことを述べたら、オズ様が顔の上半分(主に目の周囲)を片手で覆って首を左右に振ってます。……なんか変なこと言いましたか?

 でも隠れていない鼻や口など下半分を見ると肌が赤いです。あら。


「オズ、様?」


「いや、うん、そんな風に信じていると言われてしまうと嫉妬もしてくれないことを拗ねた自分が恥ずかしいなって思っただけ」


「拗ねた」


 オズ様の言葉を復唱すると、オズ様は顔から手を外してうん、と頷いてから困ったような顔で「子どもみたいだね」と呟く。


「いえ、子どもとは思わないですけど」


 拗ねた理由も何となく理解出来たのは、多分前世の記憶が蘇って自分の中で“わたし”が、されてきたことを“私”が受け入れて落ち着いたことで他人の気持ちを理解出来るだけの余裕が生まれたから、だと思う。

 だから子どもみたいだ、と言われても恋愛感情を持ったことがある前世の記憶から、こんな感じか、と当たりが付けられたというのが正しいだけ。


「そう。それなら良かった。あと、ネスティーの気持ちが優先だから嫉妬しないことに拗ねることは止めるよ。いちいち嫉妬して身が持たないというネスティーの言い分は理解した。確かに私に置き換えれば嫉妬に心を蝕まれて疲れるのは避けたいからね」


 ……ええと。うん、いえ、その解釈で合っていますけれど、私が嫉妬していることを前提で話していますよね? その上で嫉妬しないように自分の気持ちをコントロールしている、と思ってます?

 いやでも、その解釈で合っている……のかな。確かにいちいち嫉妬していたら私は疲れ切ってしまいそうだもんね。


「私もネスティーが私以外の人間と親しくしているのを見て全てに嫉妬していたら疲れてしまうだろうと考えたらネスティーの言っていることが理解出来た」


 ……なんだかオズ様、ちょいちょい私の気持ちに揺さぶりをかけるような言葉選びをして来ますけど無自覚で言ってます? 自覚して言ってます?


「ええと。オズ様も嫉妬する、のですか」


「私は心が狭いみたいでね。私以外の誰であっても仲良くしている姿を見るのは嫌だ、と思っている」


「アズも?」


「寧ろアズには嫉妬ばかりだ」


 ちょっと唇を尖らせるオズ様を見て、なんだか可愛いらしいと思ってしまったのは秘密にしておいた方がいいかな。でも、アズにまで嫉妬されるのはちょっと困る。私はアズが居なくては生きていられたのか分からなかったし。


「あの、オズ様」


 どう言おうか悩みながら呼びかけたら


「分かっているよ。アズはネスティーにとって大切な人だし、彼女が居なければネスティーはどうなっていたのか分からないことくらい」


 なんて返事がきた。それでも、嫉妬をしてしまうということらしい。頭では分かっていても感情は、ということか。


「じゃあ頭で納得してくれるならいいです」


 私は苦笑しながら頷く。


「というか、納得してもらわなくては困ります。私は死ぬまでお嬢様にお仕えするので」


「それも分かっているよ」


 すかさずアズからツッコミが入った。

 オズ様も鷹揚に頷きます。

 ……併し。

 そういえば忘れていたけど、アズとかヒルデとか護衛の皆さんとか、抑々無言を貫いてますがお兄様だってご一緒でしたね! それなのにあの令嬢が絡んできたことはパワフルだなって思いますが、そのまま皆の存在を忘れてしまってましたよ! 私!

 恥ずかしい……っ。

 人前でやり取りするような内容じゃなかった気がしますよ!

 私は思わず両手で顔を覆ってしまいました。

 居た堪れなくて顔が上げられないです!

お読みいただきまして、ありがとうございました。

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