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2-1 政略結婚って

「抑々政略結婚って互いの家に利益がある、というものだと思うんだけど」


「まぁ色々な家があるので一概には言えませんが、多数はそうでしょうね」


 私の改めての確認にアズがもう一度頷く。


「例えばなんだけど。アズの家ではお野菜が沢山作られています。でも小麦は有りません。私の家では小麦が沢山作られています。でも野菜はすごく少ないです。だからアズと私の家同士の利益として結婚することにしました。小麦と野菜を作る農民達が互いに作り方を教え合って仲良く育てることになりました。また、アズの家が懇意にしている商人と私の家が懇意にしている商人が商売としてお互いの商品を安く買うことが契約としてまとまりました。……こういうのって、互いの家同士が結婚により仲良くなったから出来ますってことでしょう」


 アズとヒルデが頷く。


「でも、アズと私の家同士の結婚で夫婦の間に不和が生じて互いの関係が離婚しないだけの冷め切った夫婦というものになりました。……これがその家庭内のことだけで済むのかな。使用人達の口が固くても出入りする商人或いは当主夫妻の友人とかから冷め切った関係が噂になっていたとしたのなら、領民の耳にも入るよね。それで当主夫妻の仲が悪いことが本当だったら、アズの家の領民はアズは悪くない。悪いのは私。私の家の領民は私は悪くない。悪いのはアズ。そんな考えになってしまうかもしれない。そうなったら農民達にしても商人にしても互いの家の物を買いたいとは思わないのではないかな、と。つまり今までの交流が全て無かったことになるかもしれない。……それって家同士の利益どころか不利益にしかならない。そう思わない?」


 長く説明した結果。

 アズもヒルデも更に驚いた顔を見せたけれど、同時に「それは、そうですね」と深く納得した。

 婚外恋愛がどうのこうのというより、夫婦が不仲だと知れ渡るって巡り巡って互いの家に不利益を出すようなことになると思うのよ。

 ということを言いたかったのだけど、きっと政略結婚で冷め切った夫婦というのを見て知っていたヒルデや、貴族はそういうものと考えているアズに説明するのに、具体的な例を出さないと理解して貰えなかっただろうなって思ったので長々と例え話をしたけれど。

 ……結果として理解してもらえたんだから良かった良かったと思っておこう。


「お嬢様の考えを例え話付きで説明されないと理解出来なかったのは、おそらくそれが貴族というもの、と教育されてきたからでしょう」


 アズが後悔を滲ませる声で自分を分析してる。


「ですが、例え話をされての説明は納得の一言。お嬢様はオーデ侯爵家の血を引いて人には無い力を持つことで、見えた過去や未来を考察して、そのようなお考えに至ったのかもしれませんね。私はやはりお嬢様にお仕え出来てとても誇らしく思います」


 でも晴れ晴れとした顔でそんなことを言ったので後悔はどこいった? と思わず突っ込みそうになったのは内緒です。

 オーデ侯爵家の血って言えば納得してもらえるので何でもかんでも都合の悪いことはオーデ侯爵家の血を引いているから。……ってことにしておけばいいような気がしてきました。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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