表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/225

7-2 騒動の顛末は

「さて。私はあなたと会えたし、あなたから妹の最期についても聞けた。ネスティーは私の後を継ぐ気はある?」


 伯母様と日本人がこちらに転生することについてアレコレと予想を話してみたり、お母様のことを話したり、元伯爵様と義母と異母妹との関係を話したりお兄様のことを話したり……。

 気付いたらあっという間に時間は過ぎて。

 聞きたいことを聞いたわ、という伯母様は最後の質問とばかりにそんなことを尋ねてきた。


「ないです」


「そうよね。私も元々継がせる気は無かったし。ただあなたがやらかしたからねぇ」


 大勢の前で未来について口走るようなやらかしをした私を溜め息ついて伯母様がチラリと見る。

 ……うっ、すみません、やらかしました。


「まぁ、ロイスデン公爵様からあなたのことは、公爵家全体で守る、とは聞いたし、今回の一件で色々と成長を遂げた子もいるみたいだし。あなたのやらかしは、見なかったことにしましょう」


 反省頻りの私に、伯母様が仕方ないわね、と苦笑いでそんなことを言う。


「ロイスデン公爵様が……」


「あら、ネスティーはロイスデン公爵様を頼る気だったのでしょう?」


「それはそう、ですけど。ここまで親身になってもらうとは思ってもいなかったと言いますか」


「まぁそれはそうね。私も驚いたわ。こちらで生まれ育った私としては、公爵家の中でもロイスデン家とスワルド家は本当に敵対したくないもの」


 伯母様の口から飛び出した家名にアズから聞いたこの国の公爵家について思い出す。

 いくつかある公爵家のうち、ロイスデン公爵家は元王女殿下が降嫁して当主であるロイスデン公爵様と相思相愛の仲良し夫妻として有名。

 家族想いのロイスデン公爵様は家族に手を出されるというのが所謂竜の逆鱗といったところ。

 スワルド公爵家は、アズがあまり詳しくは知らないと言っていたけれど。伯母様の口調から敵に回すと厄介といったところ……?


「伯母様、スワルド公爵家は厄介な家という事ですか」


「そうね。あの家は代々執着心が強くてね。何に執着するかによっても違うけど。人に執着すると面倒くさいわね。執着された人間は良くて軟禁。基本は監禁生活を送っているわ」


 ……それは凄い嫌だ。


「そんな家なんですか……」


「でもスワルド家はバランス感覚がいいのよ」


「バランス感覚?」


「領地経営も国との距離感も国内の経済状況も。簡単に言えば、国との距離感も程々。領地経営は可もなく不可もなし。国の経済状況が水準を下回ると底上げするし、水準をある程度超えると抑えようとするの。だから物価の上昇と下降がある程度の範囲内で抑えられているのよね。ある野菜が豊作過ぎてある野菜が不作だったとしても豊作の野菜は流通をある程度抑え、不作の野菜は値段が高騰しないように見張っている。そういう家よ」


「それは素晴らしいバランス感覚ですね」


「そう。だけど、それは執着心がそちらに向かない者が当主だから。領地経営だの経済状況だのに執着する当主だったら途端にあの家はダメになるわね。他に執着する当主だからこそのバランス感覚なのよね」


 良いのか悪いのか、よくわからないですが、まぁ良しとしましょうか。


「だからあの家は執着する物や人間に手を出さなければ付き合い易いわね。過去、オーデ侯爵家の女性に執着したスワルド公爵家の人間が居たみたいで、彼を婿に迎えたことで監禁生活から軟禁生活に生活が向上した女性の手記が残っているから、スワルド家とは敵対したくない、と本当に思うわ」


 伯母様……サラリと怖い情報を投げて来ないでください。監禁生活から軟禁生活に向上した、という表現の時点でその手記は読まずとも恐ろしさが理解出来て嫌です。

 ーーそんな呑気なことを考えていた私は、この後フラグ回収ってこういうことを言うんだな……と後悔することになるなんて、この時は全く予想もしていなかった。

 フラグは立ててはいけません。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ