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1ー1 婚約者に会って転生した、と気付いた

一章書き上げたら公開していきます。(でも一話ずつ)

ですので不定期更新です。

 ネスティー・ラテンタール。

 それが私の名前。ラテンタール家は伯爵位で、王国二百七十年、王家と共に歩んで来た古参の貴族家の一つ。そして、私の目の前に居る人は、つい先日、父が王命で婚約が締結された、と言った婚約相手。


 オズバルト・ロイスデン。

 公爵位、ロイスデン家の三男で、我がラテンタール家と同じく建国当初から王家と共に歩んで来た古参の貴族家の一つ。その初代は、国王陛下の弟……つまり王弟殿下が興した家。王家の血が脈々と継がれているのを示すように、現在の国王陛下と同じ銀髪に薄紫の目をして、全体的に細面の顔立ちをされていて、身体つきもやや細い。噂ではロイスデン家の男性は皆が細身だというから体質か。


「はじめまして、ネスティー嬢」


「お初にお目にかかります、オズバルト様」


 婚約が締結されて、本日は顔合わせ。

 我がラテンタール家に足をお運び頂いたので、中庭に白いテーブルクロスをかけ、一輪挿しに庭園で咲いていた薄紅の薔薇を刺したテーブルに執事長が案内してくれたところ。私はこの場にて待っていて、挨拶を交わした。


 胸に手を当てて頭を下げられたオズバルト様に合わせ、私もカーテシーで挨拶をする。ゆっくりと頭を上げた時、不意にドッと大量に絵が頭の中を駆け巡る。あまりの情報量に、少しだけ身体がフラついたけれど、気付かれないように深呼吸をして、それをやり過ごした。


 ここで失態を犯すと、私の命が危ない。


 冗談でも比喩でもなく。

 オズバルト様が、どうこうという問題ではなく、私の家の問題で。


「どうか……しましたか?」


「いえ、何も。どうぞ、おかけ下さいませ」


 オズバルト様が少しだけ不思議そうな声音で尋ねて来たけれど、私は首を振って席を勧める。オズバルト様もそれ以上のことは尋ねてこなかった。


「綺麗な薄紅色ですね」


「ありがとうございます。我が家の庭園に咲き誇っておりました一輪を庭師から貰い受けましたの」


 順調な会話の滑り出し。

 穏やかに口元だけを緩めるオズバルト様の目は、冷めている。私も同じように口元だけで笑みを象っているはず。

 互いにこれはーー王命による婚約だと知っている。

 王家の思惑は私は知らない。ただ、父が「王命が下った」 と言ったので受け入れただけ。おそらくオズバルト様もそのはず。


 不思議なのは、オズバルト様のお兄様であるロイスデン家の長男の方と次男の方との縁組では無い、ということ。

 ロイスデン家は三人の令息と令嬢がお一人いらっしゃると耳にしている。令嬢はオズバルト様の妹だったはず。


 三人兄弟は誰も婚約者が決まっていないし、私には兄がいるので、私が婿取りにはならない。異母妹と共にどこかの家へ嫁ぐことは分かっていた。だから、ロイスデン家との縁組と聞いて、てっきり長男の方だと思っていたら、三男のオズバルト様。まぁ、爵位はいくつかお持ちの家だから、その爵位の一つを継ぐのかもしれない。


 オズバルト様が平民になられるとするならば、この婚約は締結しないと思うので。……いや、平民になられても結婚した、という事実だけがあるのでよければ、爵位を継ぐこともないのかもしれないが、まぁそこは父と公爵・ロイスデン様とで話し合っていらっしゃるだろうから、私の考えることじゃない。


 王命による婚約が締結された。


 これだけが事実で、私もだけど、オズバルト様も貴族の生まれであるからには、ご意向に逆らうわけにはいかない。それだけのこと。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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