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第15話《竜皇一刀術のオリオン》


 翌朝、俺は目をさますと、ミリアの家に訪れていた。

 時刻はまだ、5時を過ぎた頃だ。放っておいても、朝7時にミリアが迎えに来ていたのだが、べつにミリアに用がある訳ではない。目的は別にあるのだ。



「おや、珍しい。わざわざ、ウチに訪ねてくるなんて、どうしたんだい?」



 ミリアの家は、竜皇一刀術(りゅうおういっとうじゅつ)の道場を開いている。

 俺の目の前には、師範代のオリオンがいた。彼はミリアの兄にあたるのだが、剣術の腕前は相当なレベルである。何でもアリの闘いを挑めば、勝つのは容易ではあるが剣術だけで挑めば勝つのにかなり苦労する相手である。



 いま現在、竜皇一刀術(りゅうおういっとうじゅつ)の当主はグラナスではない。ミリアの姉であるミレーニアが、務めているのだが彼女は稀代の剣豪として猛者ぞろいの魔界でも名を馳せている。



 ここに来た目的は、ミレーニアに教えを乞うためである。

 いまのままでは、ロコに肉弾戦で後れを取ってしまうからだ。純粋な魔術をぶつけてしまえば、辛うじて勝てるかもしれないが、あくまでもそれは現時点での話しだ。


 オトンが鍛え上げれば、いまの俺よりもはるかに強くなってしまう可能性が大いにある。



 なので、俺が強くなる必要があるのだ。

 自分よりも強くなるかもしれない存在が現れるのが、こんなにも心が躍るとは思わなかった。これまで俺よりも強い存在がいなかったので、正直なところつまらなかったのだ。おのれの身に起きた理不尽な不平等を(なげ)いては、ライバルの到来を待ち望んでいた。



 自分よりも強い存在が、この世にあらわれることなど一つの例外を除いては、起こるわけがないと思っていた。



「俺をもっと、強くして欲しいねん!」

「これはまた、おかしなことを言うんだね。コモ君は、すでに僕たちよりも強いと思うんだが……」



 そう言っておきながらも、オリオンの(まと)う空気がガラっと変わったのは気のせいではなかった。


 脱力させた両の腕は、無手ではあるのだが鋭利な刃物のような怖さをオリオンからは感じられた。

 すこし見ないうちに、オリオンは強くなっているようだな。男子、三日会わずば刮目せよってやつのようだ。



 異様な圧を感じて、俺は動けないでいた。



「打ち込んでも、良いんかな?」

「できるなら、どうぞ。ただし、本気できなさい」



 研ぎ澄まされた刃のような視線が、俺の全身を撫でていた。

 一歩でも踏み込めば、切り刻まれてしまいそうであった。



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