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第14話《生まれたばかりの赤ん坊》


 バックステップで距離を取って、光刃を納刀する。

 一呼吸しながら、術式を籠めた。



 魔力(コード):神魔竜

 解放レベル:Max

 スロット数:100

 【爆裂魔球】【無限連鎖】【神速】【属性付与】【肉体強化】【魔力複写】【魔力増幅】【魔人煉獄(インフェルノ)】……以下略。



 メリアの持つ術式を、俺なりに使いやすくアレンジして、更に進化(アップグレード)させたものだ。

 そしてメリアの術式にもっとも合う攻撃手段は、剣術である。ちなみに俺は、竜皇一刀術(りゅうおういっとうじゅつ)免許皆伝の腕前である。メリアの祖父である神魔竜グラナスから、手解(てほど)きを受けているからな。



 ――竜皇一刀術(りゅうおういっとうじゅつ)・竜破斬。



 居合いの要領で、抜刀してロコの腹を薙いだ――つもりだった。

 完全に当てたつもりで放ったのだが、俺のはなった刃は空を切っていた。ロコの姿が消えて、背後にその気配を感じたので振り返りざまに、さらに刃を放ってやる。が、それも当たらない。気配はするが、姿が見えなかった。



 どうやらロコは身体を鎮めて、足払いを払ったのだと理解した。その時にはバランスを崩して、俺は地に平伏していた。

 ロコの冷ややかな――感情の籠らないその目が、薄く細く伸びているのが目に入った。笑っているのだろうと認識するころには、追い打ちといわんばかりに、ロコの刃が倒れる俺にうち降ろされている。



 転がるようにして、俺は身体をひねりながら、剣を握るロコの手を蹴り上げていた。わずかに()れた刃が、俺の頬を切っている。

 どうやら剣術や体術だけで言えば、俺の上をいっているようだ。というか、ロコの術式が解らない。メリッサが行使(つか)っているような転移系の術式ではない。魔力すら、感じられないのだ。



 ロコは一体、何をしているのかが解らなかった。

 なのでロコが使っている術式を、解き明かさなければならない。



 ――大地転翔(グラスホッパー)



 せり上がる大地が、ロコを吹き飛ばしていた。

 その間に起き上がると、俺はロコを追撃するために飛翔する。疾風(かぜ)の術式を使えば、空を飛ぶことなど容易であった。



 空中でロコに斬りつけると、吹き飛ばされながらも応戦してきた。

 それはもう、見事な剣捌(けんさば)きである。純粋な斬り合いで俺が勝てないのは、ミリアだけだと思っていたが……ロコも、なかなかの使い手である。これは、面白いな。ワクワクが止まらないじゃないか。




「嬉しそうに、(はしゃ)いどるやんけ。弟が、出来て嬉しいんか?」

「オトン。最高やで!」



 共に落下する俺たちに、オトンが歩み寄ってくる。

 なぜかロコは、剣を納めていた。これからが面白くなるというのに、もう終わりにしようとでもいうのだろうか。



「ロコはまだ、生まれたばっかりやからな。あまり虐めたら、嫌われるで?」

「なんや、オトン。もう、終わりかいな?」



 ロコは大きな欠伸(あくび)をしていた。

 まるで生まれたばかりの赤ん坊のように、こちらを見て笑い出した。その笑顔には、邪気は感じられない。



「ロコにはまだ、術式も教えてないからな。一般常識から何から何まで、俺が一から教えるつもりや」



 そこまで言われて、俺はようやく気が付いた。

 ロコの術式が解らなくて、当然である。ロコは一切の魔術を、行使(つか)ってはいなかったのだ。純粋な体術と、剣術だけで闘っていたのだ。



 ならばロコは、まだまだ強くなるな。

 放っておけば、俺よりも強くなるかもしれない。非常にこれからが、楽しみであった。



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