プロローグ
初投稿です。
暖かく読んでくださると嬉しいです。
また、ご指摘ありましたら是非よろしくお願いしますm(*_ _)m
彼、武田司は美弥と伸治の間に生まれ、社会的地位は高く俗に言う勝ち組人生を送る富豪の息子として育てられた。
そんな彼はやることなす事全てを完璧にこなし才能の権化とまで評された。
しかし、そんな司は普段全く愛想がなく、何を考えてるか理解できないため、聡明な両親にさえも不気味がられることがしばしばあった。
司が小学二年生の頃、ある日彼を執事にお世話させ夫婦は出かけに行った。
それ以来夫婦は家に帰ってくることは無かった。
失踪事件として、警察も大規模で動いたが手がかりが全く出ずに、捜査は打ち切られ未解決事件として幕を閉じた。
一人家族に取り残された司は親が失踪したと聞いてもさほど表情を変えず、執事は謎の恐怖に身体を震わせたこともあった。
その後、司は美弥と伸治に対する恩返しをしたいと申し出た執事に引き取られた。
司は執事の元で何不自由なく暮らし、成績は国内では群を抜いてトップ。高校卒業後マサチューセッツ工科大学に首席で入学し、卒業後は生物学の学者として様々な論文で注目を集めるという、まさに天才であった。
「はぁ、なぜこんなにも人間の体というのは不便なんだ…、食事という行為も、睡眠という行為も、排泄という行為も、人の体というのは無駄が多く不便すぎる」
と、常に人体に不満を持ち政府の人間との研究費の話し合いでは、
「この薬は、癌をこの世からなくすことが出来る革命的な物質だ。だから、その分の資金を提供してもらうだけの価値があるはずだ」
「ですから、これでは現時点での利益としての見返りが少ないのです。そんな赤字になる出資は政府としても出来ません」
などと、司の考えを理解できるものはほぼおらず、
「人間とは愚かな生き物だ」
と、人間という存在そのものに飽き飽きしていた。
そんな彼はある日とても興味を唆られる研究材料をみつけ、二徹しながら研究に老けていた。
「脆い人間の体では1度休んだ方がいいな」
そう思い、体を休めるためベットに入った時ふと頭に自分を呼ぶ声が聞こえた。
「選ばれし物よ、時は満ちた」
その声が頭に木霊する。
彼は、興味本位で直感に身を委ね森へ歩いていった。彼の研究所は敷地を安く買うため人里離れた森に設置されていた。
彼は森の奥に入りひとつの小屋を見つける。
小屋に入ると部屋が不気味な光を放ち反射的に目を閉じた。
目を開けるとそこは薄暗い書斎であった。
「ここは、、どこだ??」
そう口にした時、得体の知れない生き物の存在を感じ取った。
その生き物は司の足から細長い体で肩まで這い上がってきた。
蛇のようなそれは真紅の目に、漆黒の皮膚という、この世ならざる不気味なオーラを醸し出していた。
そして、ついさっき頭に響いた声と同じ声が頭に響く。
「我が親愛なる嚮後の主よ。先代から預かりし力を授ける。」
その時、司の体が蛇と同じような不気味なオーラを撒き散らした後、彼にとてつもない力がみなぎるのを感じた。
その瞬間彼は理解した。
「これは、地球で起きるような現象ではないな、ここは異世界か?」
『さすが、人間の域を外れた主。固定観念に囚われず現実を視る目はさすがだ』
「俺はなぜこの世界に転移した?そして、これほどの力を無償で手に入れられるはずがない、俺は使命を果たすために転移したのか?」
『主は選ばれし御方だからだ、尚、主の使命は一つである。それは、このニヴルヘル地下大要塞に、かつての繁栄を取り戻すことだ。』
「なるほどな、先程手に入れた力のうちにこのニヴルヘルという存在の情報もある程度流れてきた。つまり、この得体の知れない要塞を根城に俺を縛り付け繁栄の石陶にしようと言う魂胆か」
『流石は捻くれ者の主だな、そんな悲観的な思考をすることは無い。主がこの大要塞で好き勝手やればいつの間にかかつてないほどの繁栄をニヴルヘルは迎えるだろう。そして、何よりも大前提は御方がニヴルヘル地下大要塞の主であり絶対の治者である。つまり、主が命令すれば我、ヨルムンガンドはこの場で存在ごと消滅する所存であり、ニヴルヘルも消すことが出来る。』
「ほう、なかなか面白い世界に転生したようだな……、つまり、好奇心の赴くままに生きればいいのだな?」
『その通りである』
こうして、司は自らが得た力の使い方をヨルガンから教わりこの荒れ果てたニヴルヘルに再君臨する力を我がものとしたのである。
これから司という1人の人ならざる力を秘めた人が古の時代から存在するアーティファクト〘ニヴルヘル〙に君臨し世界規模では終わらない物語が始まる。
プロローグはこんな感じです。
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