2度め
やっぱり日本人ならこれに限るんだよなー
「ふうー」
立ち上る白い筋
立ち込める独特な鼻にツンとくる臭い
胸まで湯船に浸かりそれを俺は満喫している
それとは温泉の事なのだがこの世界に来て2度目の温泉だ。
湯船に浸かる前に体を洗っていたら
常連らしいじいさんが教えてくれたのだが
このチャチル地方は掘ればどこでも温泉が沸いてくるんじゃ!との事だ。
少し話がそれたが‥‥‥
当然城下にくるまでの道中で川に寄ってもらい
沐浴の如く体を流す事はできた‥‥‥が
やはりサッパリとしない。
だから買い物やらをノエルとネムに任せて俺はこうして温泉にやって来た。
今回は宿を取る予定がないため馬車は城の外に停車させている。
それをネイソンが見張っている形だ。
俺は全く信用していないが‥‥‥ネムの推薦でそうなった。
さて十分暖まったしそろそろ出ようかと湯船から立ち上がろうとした時
湯気の向こう
見覚えのあるシルエットが暖簾を掻き分けて入ってきた。
坊主頭に盛り上がった筋肉
それに加えて190近い巨体
「おいお前ここでなにしてんだ?」
あぁん?お前?と男はこちらを睨むようにして近寄ってくる。
「なんだノクティじゃねえか
お前こそこんなとこでなにしてんだよ」
俺を視認するとさっきまでの形相が嘘のように表情が崩れる。
「よっヘイル!7日ぶりぐらいか?
色々あって汚れたから洗いに来たんだよ
でお前は?」
「色々ってのが気になるが
まあいい‥‥‥
俺は人探しついでに商品を城下に売りさばきに来たんだ、
が
その途中で通り雨にあってな」
両手を頭の上に乗せ頭を覆ってみせる。
「人探し?」
「ああそうだ
お前たちも世話になっていた宿があるだろう?
実はなおばさんが倒れたんだ」
「えぇっ!?マジかよ!
それで容体は?」
ネムが聞いたら卒倒もんだぞ
「命に関わるようなものじゃないから寝てれば大丈夫なんだが‥‥‥
おばさんにはな1人だけ身内がいるんだ」
前おばさんが店主は私じゃないみたいな事を言っていがその人の事か?
「それで?」
「そいつはなかなり前に家を飛び出したっきり便りの一つも寄越さなかったんだ
生きているか死んでいるか最近までわからなかった
でも最近目撃情報があってな」
「なるほどそれで探しにきたと
でどんなやつなんだ?」
もしかしたら俺達が会っているかもしれない
少しでも協力できるなら越したことはない
「身長は高いんだがヒョロっとしていて優男って言えばしっくりくるな
あいつは植物なんかが好きだったな」
「優男ねそんなやつここ最近見たことないな」
この世界の男はみんなガタイがいいし
優男とは全くの正反対なガサツなやつばかりだ。
「そうか
それはいいんだがそろそろ湯に入らせて貰ってもいいか?」
ヘイルは少し体を震わせている。
雨で体が冷えている時にフル◯ンで長話させられていたんだから無理もない。
「悪い悪い」
どうぞと横を勧めるがそろそろ上がろうと思っていた事を思い出す。
「俺はもうあがるからゆっくりしていってくれ」
「ああそうか
またな」
「ああまたな」
ヘイルに挨拶をして俺は温泉を後にした。





