医者とドラゴン6
振り返ると先程のスリットの生足……いやセイラがいた。
「凄い音がしたので来てみたのですが……
あの……それはまさか!
ドラゴン……?!ノクティさんが倒したのですか!?」
「いやこれはそこにいるKが倒したんだよ
なぁK!
あれっ?」
Kが元いた場所に向き直るが
Kはそこにいない
「おかしいなぁ……さっきまでそこにいたんだが……」
「なにをおっしゃいますか!
音を聞いて小屋からここに来るまで目を離さずこちらをずっと見ていましたがノクティさんしかいらっしゃいませんでしたが?」
んなバカな
ついさっきまでkと話をしていた
見てないなんてあり得ないはずなんだが……
「いや本当に俺はなにも……」
途中で言葉を遮られる
「実はあのドラゴンには相当悩まされていたんです
この辺りにはもともと立派な神殿があって
そこに暮らす方々も沢山いたのですが
ドラゴンを恐れて
みな散り散りになってしまっていたんです。
これでみな戻ってくるでしょう
これでようやく神殿を再興できます!
本当にありがとうございます!」
そう一息で言い終えるとセイラは深々とお辞儀をする
俺はなにもしていないが……
純粋に感謝されるってのはなんか気持ちがいいもんだな!
なんでかわからないがKもいない事だし俺がやったことにしてしまおう!
うんそれが良い!
「ばれちまっちゃあ仕方ねぇな
そうだよ俺がやったんだ!
凄いタフだったぜ!
でもな俺の方が1枚上手だったわけだ
最後の決め手はこの手刀でな」
肩をすくめてみたり
手刀でこうとどめをさしたとか大袈裟に話を盛りに盛った
「凄いです!
もし良ければ夕食ご一緒しませんか……?
詳しく話をお聞かせください!」
上目遣いで目をキラキラ輝かせながらセイラが俺の手を握ってきた。
あれれ……?もしかしてフラグ立っちゃいました?
いやー悪いねKさん
据え膳食わぬは男の恥ってね
「では夕食をご用意いたしますので小屋に参りましょう!」
言われるがままにセイラに手を引かれ歩きだそうとした時
背後からまた女の声で呼び止められた。
「ちょっと待ちなさいよ!
あんた岩影に隠れてただけで何もしてなかったじゃない!」