捕縛
集団との距離が縮まってくると
その異様さが目についた。
全員同じ白いローブを羽織り等間隔に並び会話をしている様子もなくこちらを見ている。
「ねえノクティ‥大丈夫かな‥?」
不安げにネムが問いかけてくる。
大丈夫じゃ無さそうな気もしてきたが、
ここまで来て引き返したりしたら追って来そうな雰囲気すら感が‥‥‥
「うーん
今さら引き返すのもな」
集団との距離はもう50メートルもない
今までヒナに夢中で全く興味をしてしてなかったノエルが操縦席までやって来て
「あんたたちなにごちゃごちゃ話してるのよ?」と訪ねてきた
ネムが前方の異様な集団を指差してその存在を教える。
その存在を確認したのかしていないのか間髪いれずノエルは躊躇せずにこうのたまった。
「突っ込めばいいじゃない!
どうせびびって退けるわよ!」
もし退けなかったらどうなるかとかこいつは考えないのだろうか?
俺たちもたたじゃすまないぞ
「ネム
いつでも止まれるくらいまで徐行してそのまま直進してくれ。
退ける気配はがなかったらすぐに止まれるように」
「うん‥わかった‥」
馬車はスピードを落とし白い集団との距離を縮めていく―
―――――――――――――――――――――――――――――――――
結果から言うと俺は一人捕まった。
あの集団が根城にしているであろう洞窟の最奥に囚われている。
木の枷を手足につけられ自由を奪われて‥‥‥
あの二人は俺が囲まれている中隙をついて逃げていった。
二人とは言ったが
ノエルが「今よ早く出しなさい」とネムに命令していたのを俺は見逃していない。
まあいいんだけど
ここに来て一つ驚いた事があった。
それは同室にいる人物。
もう会う事はないであろうと思っていた人物
二度と会いたくないと思っていた人物。
「よお兄ちゃん会いたかったぜ」
森で急襲してきたあの男-そういや名前は知らなかったな-が俺と同じように枷をつけられ干し草の敷き詰められた床に座らされている。
「俺は会いたくなかったな」
男は鼻で笑う。
「そうつれない事言うなよ
姉ちゃんはどうしたんだ?」
ネムの事か
こいつに教えてやる筋合いもないよな
「さあな知らないね」
ニッと嫌な笑みを浮かべる。
「情けない姿を見せてフラれたのか?」
「ネムはそんなやつじゃない!」
思わず熱くなって叫んでしまった。
男も驚いたようで目を丸くしてこちらを見ている。
「それにな
俺とネムはそんな関係じゃないんだ」
「そっそうか
あとな騒ぐな
やつらが来るぞ
順番が早まって俺らの番になっちまうかも知れないからな」
「俺らの番?
どういう事だ?」
「なんだお前知らないのか?
俺たちは生け贄にされるためにここに連れてこられたんだよ」
生け贄?





