禁句?
「我が国に招いたのは今のところ
あなた方以外にはおりませぬ
しかしこの先ゲーム内で優秀な成績を納められる方がいればいずれは‥‥‥
わかりませぬな」
俺達以外にはいない?
ではあいつはどこから来たというのか?
「あのさKって言うやつに心当たりはないか?
自分も転移者だみたいな事を言っていたんだが?」
「けー?
はて‥‥‥
見たことも聞いたこともありませんな」
なんとなく奴の正体が見えてきた気がする
俺の考えが間違っていなければ‥‥‥な
「そうか
それだったらさセイラってちょっとエロい格好をした女の子を知らないか?」
セイラという言葉を耳にした瞬間ドルガンの顔が曇ったような気がした。
「今なんと仰りましたかな?」
気のせいではなかったようだ。
今までの調子の良い話口調とは違い
地を這ってくるような低い声色だ。
「セイラだよ
セイラ!知らないか?
かわいい女の子なんだ」
なぜだろうドルガンから感じたことのない
強いプレッシャーを感じる。
「今なら聞かなかった事に致します
訂正されるなら今のうち‥‥‥ですぞ?」
訂正?
何を訂正しろというのだろうか?
文脈から感じとるにセイラが禁句なのか?
以前違う場所でもそんなような事を言われたような‥‥‥
それでも俺は引かない
「セイラがどうかしたのか?」
「何を仰りますか翔哉殿
どうかしているのは翔哉殿の方ですぞ?
これ以上この話を続けると言うのでしたら‥‥‥覚悟はできておられますか?」
俺がどうかしている?
それに覚悟ってなんだよと気にはなったが
「わかったよ‥‥‥」
ドルガンのただならぬ雰囲気に気圧されてそれ以上聞くことはできなかった。
「わかっていただければそれで宜しい!
他に何かごさいますかな?」
一瞬で先程と打って変わりにこやかに話すドルガン
二重人格かよ!こえー
「いや大丈夫だ
もう特にない」
薄気味悪くて一時でも早くこの部屋から出たいとそのときは思ってしまった。
「左様ですか」
ドルガンは扉に向かい手を二度叩く
すると扉が開き兵士が入ってきて
「なにかご用でしょうか?」とドルガンに訪ねる。
「客人がお帰りだ
門までお送りしてくれ」
頭の前で右手を45度くらいの角度で掲げて
「はっ!」と元気よく敬礼をすると
俺を引き連れ門まで送ってくれた。
少し気になったので門に向かっている間に兵士に1つ質問をした。
ドルガンは結構偉い人なのか?と
どうやらドルガンは大臣という役職らしい
‥‥‥多分偉いのだろう。
「あっ!」
宿に戻る道すがらドラゴンの討伐報酬の事を聞きそびれた事に気づいた。
一度引き換えそうかと身を翻してみたものの気が乗らない‥‥‥
ノエルとネムには適当な言い訳をしようと覚悟を決めて宿に向けて歩きだした。
大丈夫まだ金ならある。





