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最強騎士だったけど転移したらニートだった件 (仮)  作者: さいだー
いざ城へ

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自業自得


「聞いたってなにを?」



ふーと深呼吸をしてからノエルは話し出す


「それはね

‥‥‥あのオーディションで本当に合格していたのは


ネムだったのよ」




「えぇ!?本当かよ!?


じゃあなんでお偉いさんからの話を受ける必要があったんだよ?」



ネムが合格していたと言うならそもそもネムを出演させるために俺に依頼してきたっていう話が必要ないことになる



「それなんだけどね

スポンサーからダメ出しが入った


ネムを主演に使って数字を取れるのかって‥‥‥


そこで私に差し替えろって話が出たみたいなの


事務所的には何の問題もない


ネムだろうが私だろうが仕事をとれればどちらでも良かったから二つ返事でOKしたみたい



私とネムには黙ってね」



なるほどな話が見えてきた



ノエルが主演なら数字を取れるだろうからと白羽の矢がたった


そのせいで意図せずネムから仕事を奪ってしまう形となり後ろめたさからネムを出演させるために話に乗ったと


でもそれなら‥‥‥



「断れなかったのよ」


表情に出ていたのか俺が聞こうとした事に対しての答えを先回りされた。



「それはなんで?」





「私が主演だと発表されてネムが凄く喜んでいたから

キャストが発表されたとき


『やっぱり‥ノエルちゃんは凄い‥

さすが私の憧れ‥かなわないね‥!

少しでも近づけるように‥頑張らなきゃ‥!』


ってあの子に言われたの

その時はまだ真実を知らなかったから


頑張りなさいなんて的外れな事を言ってしまったけどね」




遠くを見るような目付きでノエルは続けて語る。





「ごめんちょっと嘘ついた


‥‥‥正直言えば私のちっぽけなプライドなのかな



一応あの子の憧れの先輩で


自分で言うのも‥だけど人気もあって‥‥‥


ネムに負けたって認められない自分もいたのかもしれない


それで断れなかった‥‥‥のかな」




「そうか‥‥‥まあいろいろあるよな

うんうん」


告白を受けてどう返答をしたらいいのかわからずしどろもどろになってしまった。


これがニート特有の人生経験の無さのなせる技。




「そのせいで無関係なノクティを巻き込んでしまったのよね


ごめんなさい」


自信家で高飛車なノエルの口から謝罪の言葉が出たことに驚いた。


驚いた事で何も言い返せずにいた。



「さっきは私が勝手に魔王討伐を受けてしまったけど

やっぱり断りに行きましょう

これ以上あなたを私のわがままに巻き込めない


もう終わりにしましょう」



俺は別にそれでもいい

むしろ帰れるならありがたい

でも気になってしまった

気になったなら聞かずにはいられない。



「断ってお前達は平気なのか?」



座り心地が悪いのか居心地が悪いのか一度座り直して姿勢を正してからノエルは口を開く。



「さあ


わからないわ


この国の王様がどこまでスポンサーに絡んでるのかもわからないし‥‥‥


でもそうね急に降板なんて事になったら

何かしら噂を流されてしばらく干されるかもしれないわね」



ノエルは微笑んで、でもいいのと前置きしてからこう続けた。


「だって自業自得だから」



自業自得か‥‥‥

芸能界という大きいくくりとは少し違うが


学校という小さな世界ではあるが干された事があった。


干される苦しみ悲しみを俺は知っている。



きっかけは凄く小さな事だったのは覚えている


俺は授業中率先して手をあげて答える

いわゆる優等生を演じていた。



クラスには30人ばかりいたから

中にはそんな優等生を良く思わない連中もいる


最初はガリ勉だの良い子ちゃんだの陰口を言われているだけだったのだが



とある日俺の事を良く思わない連中のリーダーが指され

答えられない問題があった。


リーダーは黒板の前に立たされて半泣きになりながらわかりませんを連呼していた。



10分程たった頃教師も困り果てて

『誰か解けるやつはいないか?』とクラスに問いかけた。


一瞬クラスは静まり返った。

今思えばリーダーを恐れて誰も答えなかったんだろう。


でも次の瞬間には俺が挙手をしていた。


すぐに解答して教師に

『やっぱり井ノ口はできるなー!』と褒められ少しだけ得意がってしまった。



そのほんの少しの(おご)りがリーダーを馬鹿にしたととられ


授業の終わった瞬間から俺は孤独になった。

小学校生活それ以来誰も関わって来ることはなかったし話すこともなかった。



ノエルの置かれた状況とは少し意味が違うかも知れない

でも自業自得と言う点では同じだ。


込み上げて来るものがあって思わずこう言ってしまった。後悔先に立たず。



「そうか



だったらダメだ



俺が絶対に魔王を倒す!

俺が好き好んで勝手にやることだ

お前とネムに拒否権はない!いいな!?」

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